【家庭紙市場】市場の3割占めるソフトパック

輸入紙への対応、関連アイテムの拡大など
発展への道筋探る
あらゆるコストの上昇により、各メーカーが価格修正を行った今夏の家庭紙業界。ここ数年の修正で市場単価は上昇しているが、それを加味しても各社が適正利益を確保できている状況にはないと言える。また、増え続ける輸入紙の存在も、市場に大きな影響を与えている。家庭紙の価値向上に向け、現場ではどういった動きが見られているのか。今年の家庭紙市場の動向を見ると、中東情勢の影響を受け「商品が店頭から無くなる」という消費者心理から、2月、3月に仮需が一部発生。各メーカーの話によると、4月には大きな反動減は見られなかったものの、6月以降、落ち込みが見られ、それが今も尾を引いている状況にある。
今年8月の販売金額の前年比動向を見ると、ティシュが微減、トイレットロールが微増で推移している。ただ、販売数量になると、ティシュ、トイレットロール共に約4%減とダウントレンドにある(当社推計)。
9月の市場価格に目を向けると、東京紙商家庭紙同業会の発表では、各メーカーが7月、8月に価格修正を行ったこともあり、トイレットロール再生紙(55~60m12ロール)が398~468円(安値~高値、税抜)で共に8月から20円アップ。パルプ物(シングル55m12ロール)が628~658円(同)で、安値が30円、高値が10円アップ、と特に安値の底上げが果たされた。
ティシュは180~200組が498~528円、150組が348~368円、また規模が拡大するソフトパック(150~160組)は218~248円(全て安値~高値、税抜)と8月と変化が無かった。
ティシュに関しては、増加する安価な輸入ソフトパックの存在が市況に大きな影響を与えている。安いものを求める消費者の増加で安価なソフトパックの市場シェアが高まる傾向は数年前から見られていたが、更なる物価高騰による節約志向の上昇で需要が拡大。また、業界関係者が口をそろえる「以前より品質が良くなっている」という“安かろう悪かろう”から脱却しつつある点も、輸入紙がシェアを伸ばす理由の一つと言える。
伸長市場のソフトパックは、安価なものだけでなく、国内メーカーではファーストブランドの商品や、保湿系の商品などでも展開が見られる。ソフトパックの販売構成比は3割を占めるなど、市場での地位を完全に確立。メーカー関係者は「ソフトパックだから良くない、というわけではない。消費者が価格以外の価値を感じているから市場が伸びているはず。コンパクトなことやさまざまな場所で使いやすいこと、持ち運びやしすいことなど利点も多い。価格競争ではなく、付加価値のあるソフトパックの展開で消費者の潜在需要を顕在化することが、国内メーカーが『質的成長』を図る上で重要なこと」と時代の変化に合わせた明確な方向性を示している。
また、市場拡大に向け、新規使用者獲得の余地があるハンドタオルやキッチンペーパーを拡充する動きが強まっている。これらは、量的成長の面でも可能性を秘めており、各メーカーの近年の新商品を見ても、差別性のあるものが増えるなど、量的に加え質的成長を目指した戦略が見て取れる。
今後は、増える輸入紙への対策も重要なポイントとなる。日本家庭紙工業会では、会として制作した、日本製を表す「折り鶴」のマークの訴求強化を模索している。メーカー関係者は「安定供給の面で日本製は優位性がある。輸入品への依存度が高まると、サプライチェーン的に消費者に迷惑がかかる恐れがあることを流通関係の方に認識してもらいたい」と警鐘を鳴らす声も出ている。
(詳細は「日用品化粧品新聞」10月19日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)




