新型コロナ「5類感染症」で、高まりを目せる日やけ止め、制汗剤、成長を見せたマスクの現状に迫る
2月の時点では2019年を上回る動きを見せた日やけ止め
３年の長きにわたり、ライフスタイルを大きく変えてきた新型コロナウイルス感染症。ただ「５類感染症」への移行など、大きな節目を迎えているのは間違いない。多彩なカテゴリーで様々な影響が見られそうだが、ここでは需要の高まりを見せている日やけ止めや制汗剤、またコロナ禍で大きな成長を見せていたマスクの現状を追った。
ケア意識向上、使用シーンの増加で成長基調の日やけ止め
脱コロナで需要回復が期待されるアイテムは数多くあるが、中でも日やけ止めに対する期待は非常に大きい。旅行・レジャーを始めとした外出機会の減少、マスク着用機会の増加は、すなわち日やけ止めの使用シーンの減少につながっていただけに、反転攻勢の機会になるという関係者は多い。
実際に「２月の時点では２０１９年を上回る動きを見せた」とシーズンの立ち上がりから好調な推移を見せるブランドもあり、メーカー担当者は「ケア意識の高まりから通年使用する人が増加したり、子供や男性の使用率が向上したりと、市場が着実に大きくなっている」と指摘する。
昨年12月から、紫外線防御に関わる耐水性効果を表示する「ＵＶ耐水性」が運用開始となったこともトピックの一つ。現在は経過措置期間中ではあるが、パッケージ表示されているものが春の新商品としてすでに登場するなど、メーカー各社も対応を進めており、カテゴリーへの関心の高まりにも寄与しそうだ。
４月、5月と全国的に気温が高い日が続き「ＵＶケア意識は非常に強まっている」（メーカー担当者）と勢いは持続しているようで、レジャーなどの機会が増える夏場にかけては、更なる成長も期待できるという声も挙がる。
外出増や脱マスクの環境変化で需要開拓も見据える制汗剤
制汗剤市場も、日やけ止めと同じくコロナ禍からの回復が見込まれる。実際、今年１〜５月の市場の販売金額は３％増（女性用）という動きを見せている。しかし、２０１９年と比較すると３％減（同）と回復は仕切っておらず、今後、どこまで数字を戻すかが注目される。
また、スティックやクリームなど拡大傾向の直塗り市場で９年連続トップシェアの「デオナチュレ」（シービック）は、市場の成長率を上回って推移。ロングセラーブランドの勢いが落ちていないことから、需要自体は大きく縮小していないことがうかがえ、更に、インバウンドに関しては、中国の団体顧客の消費が今後増えていくのが考えられるため、今年は19年超えを果たしてもおかしくはない。脱マスクの生活で他人のにおいが気になる人が大幅に増えた、という今春の調査結果もあることから、周囲を反面教師にした需要開拓にも期待ができそうだ。
更に、外出機会の増加で回復が期待できるとして名前が挙がるのが、ランチボックスやステンレスボトルなどを始めとした行楽用品。現状を見ると、ランチボックスは前年並みといったところだが、ステンレスボトルは、インバウンドの復調もあり、大手小売業でも前年比20％増といった高い成長性を見せているようだ。また、レジャーシートも復調中。前年比30％増と外出機会の増加が大きく数字に反映されている。
2023年のマスク市場規模予測は１６００億円と推測
減少傾向ながら着実にパイの拡大が見られるマスク
一方で、アフターコロナということが逆風になりそうなのがマスク。主要なメーカーによると、２０２３年の市場規模予測は１６００億円と推測され、前年比で３割ほどの減少となる。ただ、コロナ前の19年比では2倍以上に成長している計算だ。
この間、付加価値を持つ商品が続々登場し、特に女性、若年層の支持を集めている。メーカーサイドも「色・デザイン」ものを中心とした売り場を指向するなど更なる「安定成長」に向けた取り組みを進める。高付加価値・高単価の商品比率が高まることで平均単価が上昇し、市場の急激な落ち込みは考えにくいとする声が多い。
また別のメーカーは「５月中旬頃までコロナ感染者数の緩やかな増加が続き、季節外れではあるがインフルエンザが流行していることから売り上げが2週連続で増加した」と語るなど、引き合いが強まっていると明かす。
（詳細は「日用品化粧品新聞」6月12日号／または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
