SDGs・自然派商材特集 社会・環境への貢献目指し、サステナブルな活動強化へ
大手に限らず中堅企業でも積極的に活動
業種や業態を問わず数多くの企業が、ＳＤＧｓの達成に向けていかに貢献するか、取り組みの強化を図る時代となって久しい。サステナビリティが重要視される中、大手に限らず中堅企業でも積極的に活動を進めており、注目度は上昇する一方だ。４月１日には「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」も施行され、社会的な機運はますます高まる傾向にある。特に環境配慮を前面に打ち出し定評のある石鹸洗剤関連メーカーの動きを追った。
ＲＳＰＯに日本企業としては初めて加盟
事業の柱を「衛生・環境・健康」とするサラヤは、ＳＤＧｓ達成を企業活動そのものに組み入れている。環境面では、１９５２年の創業当初から天然素材を用いた環境に優しい製品を開発してきたが、近年のパーム油事情を踏まえ、各種団体と協力する形で主要生産国であるマレーシア・ボルネオ島の保護活動を行っている。その一貫として、パーム油を原料とする対象商品の売り上げの１％を寄付し、ボルネオ保全トラストを通じて環境保全に役立てている。また、ＲＳＰＯ（持続可能なパーム油のための円卓会議）に日本企業としては初めて加盟し、ここで認証されたパーム油の普及にも力を入れている。
近年は海洋プラスチック問題にも着目し、課題解決のための対応を進めている他、更家悠介社長自ら理事長を務めるＮＰＯ法人ゼリ・ジャパンを事務局に設立した気候非常事態ネットワークを通じて、気候変動の認識、二酸化炭素など温暖化ガスの抑制、地方自治体や市民運動の醸成、ビジネス提案とソリューションの提供などを推進する活動を始めた。
ＲＳＰＯ関連の活動が目立つのが太陽油脂。２０１１年にＲＳＰＯへ加盟し、また、20年４月にはＪａＳＰＯＮ（持続可能なパーム油ネットワーク）の理事企業に就任するなど、持続可能なパーム油調達に向け尽力している。20年12月には「石けん・化粧品事業」の自社製品全てをＲＳＰＯ認証品へ切り替えた他、21年にＩＰ（アイデンティティ・プリーザブド）モデルの液体石鹸を製造する体制を構築している。
その他のサステナブルの観点では、本社を置く横浜市との関係が深いのも特徴的。20年には「横浜市ＳＤＧｓ認証制度“Ｙ-ＳＤＧｓ」を取得。働きやすい職場づくりや人材の活躍推進、ゼロカーボンに向けた脱炭素の取り組みなど、活動の幅を広げている。
また、従来行っていた石鹸に関する出張授業を、同市の子供たちの職業観や勤労観を育み、キャリア教育や環境・社会面への多角的な視点を養うサステナブルスクールとして構成を刷新。更に、Ｊリーグで初めてＩＳＯ１４００１を取得した横浜ＦＣとＥＣＯパートナー契約を締結、横浜ＦＣが主催する環境意識向上のイベントで、石鹸づくり体験のワークショップなどを提供している。
中堅企業では事実上初の「サステナビリティ中期計画」を策定
企業理念を「健康な水ときれいなからだを守る」と定めるシャボン玉石けんは、サステナブルな活動をより強固なもとするため、中堅企業では事実上初めての「サステナビリティ中期計画」を策定して話題を集める。五つの重要課題を特定し、取り組む15テーマと30年に向けた目標を明確にして、地球環境と生物多様性、持続可能な社会に貢献したいと意気込む。計画の推進で、より企業価値を高めたいという狙いもある。
地元で「ＳＤＧｓ未来都市」を標ぼうする北九州市との協力関係も進む。19年には包括連携協定を締結、産業観光や市内の子供食堂への商品寄贈、環境教育、石鹸系消火剤の開発などの活動を更に加速していきたい考えだ。市が独自に掲げる「北九州ＳＤＧｓ登録制度」にも登録されている。
ＲＳＰＯへの加盟は12年というミヨシ石鹸は、無添加石鹸へのこだわりをもって人と環境に優しい企業であることを長期にわたって標ぼうし続けてきた。原料調達からユーザーの使用後まで、全てのプロセスで確かな品質と環境保全の両立を追求している。
商品面では、サトウキビ由来のバイオマス容器を多くの製品で積極的に使用している。これに伴い、材料、部品、装置などから最終製品まで機能と安全性の評価試験を行い合格したものにのみ認められる「ＵＬ認証」を取得した。
（詳細は「日用品化粧品新聞」4月11日号／または日本経済新聞社「日経テレコン」で）
