【注目ブランド戦略】ユニリーバ「LUX」の新コミュニケーション
新たなコミュニケーション施策が注目集める
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングが展開するトータルビューティーケアブランド「ＬＵＸ（ラックス）」。日本進出から半世紀を経て、ヘアケア市場では６年連続ナンバーワンとなるなど、常にトップランナーとして、存在感を示し続けている。最近の動きや今後の方向性を追った。
昨年９月、「ラックス」が打ち出した新たなコミュニケーション施策は、関係者の注目を大いに集めた。美の固定観念に縛られることなく、自分自身を美しいと思えることが自信になり、一歩踏み出す勇気につながり、その踏み出す姿勢こそが美しいという信念のもとに掲げたブランドビジョン「ＢＲＡＶＥ ＶＩＳＩＯＮ ２０３０」を発表。これに伴いアンバサダーにモデルであり女優としても活躍する水原希子さんを起用し、その考え方をより身近に受け取ってもらいたいという提案だ。
様々な美しさの選択肢があることを訴求
特に日本の場合、髪や肌、目の色に違いがないことが多く、美に対する固定観念が根深いとされている。そこでまず、様々な美しさの選択肢があることを知ってもらうことに取り組んでいる。お笑い芸人のバービーさん、メイクアップアーティストで僧侶の西村宏堂さん、義足モデルの海音さんを招き、美しさをテーマにトークを展開するインスタライブを行ったところ、視聴者から「勇気をもらうことができた」など多くのコメントが寄せられ、予想を超える反響を得たという。
「社会にはいろんな美しさの選択肢があり、それをお互いに認め合えるようになってきていることから、自分にももっと寛容になってもいいのではないかというメッセージになりました。痩せている方がいいとか、髪は長くてサラサラのストレートが可愛いなどと、自分で自分を縛っているのではないかと気付きを与え、そこから解放に導こうとしているのが現在のフェーズです」と、同社の大西朱音アシスタントブランドマネージャーは振り返る。
更に、選択肢を示す取り組みの一環としてこのほど実施したのは、Ｋ—ＰＯＰグループのＴＷＩＣＥとのコラボキャンペーン。国内5大都市のデジタル屋外広告で特別コラボ動画を公開、更に店頭でのキャンペーンも行っていく予定だ。ここでは、自分らしくいるために固定観念を打破する象徴の一つとして、テーマカラーをピンクに設定した。同じピンク色でも人それぞれに持つイメージが異なることから、多様なピンクの可能性を発見してもらい「こうしたキャンペーンでも、当たり前であふれる世界が少しでも変化していくことを期待しています」（大西アシスタントブランドマネージャー）。 また、コロナ禍もあって最近は信頼性の高いブランド、好きなブランドを買う、分かりやすい便益を選ぶといった特徴がある購買行動を踏まえて、「ラックス」基幹シリーズはこの上半期、テレビやデジタルを活用した広告を継続的に行っていくことに加え、コンテンツ力のある強力なパートナーと共にパーパス施策を強化していく予定。更には、梅雨の髪のうねり、ＵＶによるダメージなどといった季節性ニーズを訴求する施策も進めていく。どんなコンディションであっても自分に自信が持てるよう、便益に合わせた製品を最適な形で提案していく考えだ。
