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【ロフト】生活者に寄り添うサステナブル施策展開

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【ロフト】生活者に寄り添うサステナブル施策展開
”無理なく取り入れられる提案がヒットに”

 サステナブルに対する取り組みが特別なことではなくなり、スタンダードなものとして、その内容の深さがより重視され始めている昨今。各メーカーも、それぞれ自社でできること、自社だからこそできることを追求する姿勢を強めるなど、取り組みの多様化が全体的に見られるようになっている。ここでは、コスメや雑貨に強い小売業のロフトが、どのような店頭展開で生活者との接点をつくっているのかをまとめた。

 まず、ロフトが現在行っている取り組みで話題を集めているのが2021年5月から実施している、化粧品の容器を回収する「容器回収リサイクルプログラム」。ネイチャーズウェイ、日本ロレアルグループ、テラサイクルジャパンによる取り組みに参画したもので、循環型社会の実現を目的に、2社のブランドの使い終わった容器を回収するボックスを店頭に設置した。その後、2社のブランドだけでなく「ロフト グリーンプロジェクト リサイクルプログラム」に賛同するメーカー、ブランドの扱いを徐々に拡大。21年11月には28ブランド、22年10月には33ブランド、23年9月には35ブランドとなり、業界内外での認知度も高まっていることから、今後もこの勢いは増すものと見込まれる。展開店舗も順次拡大し、現在は国内全店(152店舗。23年9月時点)で行っている。

 また、回収事業は、化粧品以外の分野でも実施。22年には、循環型プラットホーム「ビオロジックループ」の協力のもと、繊維衣類品を回収している他、文具のパイロットコーポレーションと、使用済みペンなどのリサイクル活動を協働で実施している。

 サステナブルな生活提案企画で訴求を強化

 販促面では、サステナブルな生活を提案する企画「サステナブルビューティ」と「サステナブルライフ」を全国の店舗で展開。年に2回、サステナビリティにつながる化粧品や雑貨を集め、販売の拡充と取り組みの訴求強化を図っている。

 なお、これらの取り組みは、全社的な活動と位置付けるため、21年10月から「ロフトグリーンプロジェクト」と銘打ち、スローガン「雑貨のチカラで、暮らしと地球をしあわせに。」のもと推進している。

 現在、35ブランドが参画する化粧品の容器回収プログラム

 事業規模の大きい化粧品の「容器回収リサイクルプログラム」の成果や方向性に焦点を当ててみる。

 個別及び数社のメーカーの取り組みを店頭で協働展開する小売業は少なくないが、30社以上のメーカーと幅広く取り組んでいるという点は、化粧品を豊富に取り扱うロフトならではの事例といえる。

 協賛するメーカーへは、理念や取り組みへの賛同を前提に、まず、回収ボックスに自社ブランドのロゴを付けるなど、プロモーション活動の一環としての効果を提供。更に、回収は協賛メーカーの容器に限っていることから、店舗に空き容器を預けに来たユーザーに、預けた商品をその場で再購入してもらう機会にするなど、購買・使用の循環による顧客の囲い込みというメリットを生み出している。

 また、最近行った、ロフトのアプリ会員約760万人を対象にしたアンケートでは、容器回収プログラムに参加したことがある、知っているという人が確実に増えており、回収量も右肩上がりだという。この実態も、各メーカーが期待を高める要因になっている。

 では、サステナブルの追求が、果たして販売にどこまで貢献しているのか。もともと、ロフトには、情報感度の高い若年層の顧客が多い。化粧品などのトレンドに敏感な層、かつSDGsなどを学校教育などで受けてきている層が多いということは、ただ単にサステナブルを追求した商品を、社会的責任の一環として販売する向きの強い小売業に比べ、優位性が高いと言える。

 しかし、サステナブル云々よりも「商品の『品質の良さ』がまずありき」の側面が実は強いという。

 商品本部営業企画部の担当者は、この点について次のように分析している。「『良いと思って買ったものが、気が付いたらサステナブルにつながるものだった』という商品が、売り上げ好調の商品に多いように感じます。もともとサステナブルなもので注目を浴びているものもありますが、例えば、mshのラブ・ライナーは、ロフトの2023年度ベストコスメのアイライナー部門でベストワンになりました。数年前からパッケージにFSC認証紙を用いたり、レフィルを発売したり、また当社の容器回収に賛同いただいたりと、売れている商品が結果的に環境にも配慮していたというケースはかなり多いと思います。デザインがかわいいから選んだ、というものが実はアップサイクルの素材を使っていることなども珍しくありません。ヒット商品を生み出すメーカーは今の時代、そういったものに取り組み、それを伝えていかないとお客様に受け入れられないことを、しっかり意識しているのではないでしょうか」。

 つまり、売れている商品をつくるメーカーは、消費者や時代の需要を取り込むことに敏感で、あくまで優れた品質をベースに、サステナビリティを“付加価値”の一つとして加え、その価値をうまくアピールすることでヒットにつなげていることがうかがえる。

 韓国コスメのサステナブルの今後

 全体的に勢いがあり、ロフトでも構成比の3割近くを占める韓国コスメについてはどうか。

 韓国は日本ほどサステナブルに対する注目度が高くないという見方もあるが、韓国コスメは日本仕様、日本限定など、日本戦略に向けたブランド展開も多く見られている。FSC認証紙の採用や、火山灰などを素材に用いるなどした環境配慮型の商品がその例で、品数も徐々に増加傾向にあるという。今後、ロフトのような若年層に影響のある企業がどういう発信をしていくのか注目されるところだ。

 「雑貨のチカラで、暮らしと地球をしあわせに。」を具現化

 今後の活動については「現状、化粧品の回収容器を持続的に何かに活用できているかと言えば、まだその段階ではありません。が、そろそろ回収量も多くなり、回収したものをどう活用しているかを発信する段階に来ています。今年6月に行うサステナブル関連のイベント時には、最新の情報を披露したいと考えています。当社のお客様から、もっとサステナブルな商品を増やしてほしい、売り場をつくってほしい、どの商品の何が環境に役立っているのか詳しく書いてほしい、といった声が高まっています。弊社の考え方に共感していただける人が増えていると感じますし、今後も取り組みは継続、強化していく考えです」(商品本部営業企画部担当者)。

 化粧品や雑貨の魅力を通して、スローガン「雑貨のチカラで、暮らしと地球をしあわせに。」を無理の無い形で具現化していくことが、サステナブルな生活をより人々に浸透させるための自社の役割と認識している。

(詳細は「日用品化粧品新聞」4月8日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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