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【浄水器市場】多様なアプローチで市場のパイ拡大中

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【浄水器市場】多様なアプローチで市場のパイ拡大中
商品、プロモーションでサステナブル訴求

 安全でおいしい水を手軽に実現できること、環境に負荷を掛けないことなど、多彩なメリットを抱え、存在感が増している浄水器。市場では様々なニーズに対応するアイテムが登場したり、メーカーからのユニークなアプローチが見られたりと、活性化が図られており、ユーザーの興味を引く施策が進んでいる。

 浄水器協会の統計によると、2022年度の浄水器本体の出荷台数は427万6000台で前年同期比2・8%減、カートリッジの出荷台数は3283万7000台の同8・2%増だった。コロナ禍で大きく伸長した浄水器本体は直近2年ほどは反動が見られるものの、カートリッジは伸長が続いている。

 新築の一戸建て、マンションに備え付けるケースなども増加しており、更にコロナ禍の巣ごもり需要が新規ユーザー獲得につながったことから市場のパイが拡大したことが表れており、初めて浄水器を使ったユーザーが機能性、利便性に気づき、順調にリピーターになっている様子がうかがえる。

 23年度上期の出荷台数は浄水器本体が227万3000台、カートリッジが1706万9000台。本体はやや前年を下回ったものの、カートリッジは伸長しており、引き続きの成長が期待されるところだ。

 メーカー担当者は「きちんとカートリッジを交換してくれているユーザーが多いと見られ、液晶パネルなどで交換時期を適切に伝え、交換を忘れてしまうといったことをケアすることで、更にカートリッジ市場の活性化につなげられると考えている」と前向きな姿勢を見せる。

 プラスチック使用量削減で持続可能性強調

 近年、メーカー各社が訴求を強めるのはサステナブルな提案だ。ペットボトル飲料の代替となり、プラスチック使用量の削減につながることを大いにアピールしている。三菱ケミカル・クリンスイは企業広告「もう一度、水道水を飲もう」を発信し、世界で水道水をそのまま飲めるのは日本を含めて12カ国に過ぎず、最高水準とも言える日本の水道水が、ペットボトルのミネラルウォーターよりも水質基準が厳しいこと、ミネラルウォーターに負けず劣らずミネラルが豊富なこと、浄水器は小さな環境負荷で水資源を活用することができることなどをアピールし、浄水器を使うことで、環境をいたわりながら安全でおいしい水を飲めるという気付きを与えて話題となった。

 また今春、BRITA Japanはリサイクルガラスを使用したポット型浄水器「グラスジャグ」を発売した。リサイクルガラスを60%使用し、水受け部は100%バイオベース素材のプラスチックを活用。耐久性と軽さを同時に実現したという。

 水道水源から暫定目標値を超える物質が検出されたという報道もあり、関心の高まる「PFOS及びPFAS」(有機フッ素化合物)への対応など、浄水器に寄せられる期待、関心がますます高まりそうな事例は多く見られる。高機能、高単価品の動きが良いという声も聞かれ、今後もメーカー各社からの新たな提案などで、更なる市場活性化につながることを期待したい。


(詳細は「日用品化粧品新聞」4月1日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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