【入浴剤市場】前年を上回る堅調な動き

コロナ禍で注目を浴び、規模も拡大した入浴剤市場。近年も多少の増減はあるものの、底堅い推移が見られ、店頭も、より高単価の商品や、若年層に人気のヘアケア・ボディケアブランドの商品などの登場で華やかさを増している。今年の市場はどういった動きを見せているのか。各社の展開や消費者トレンドの変化などを追った。
今年1~8月の入浴剤市場は、前年比4%増と好調に推移。昨年の同時期も4%増と良好な状況が続いている(当社推計)。
カテゴリー別には、錠剤、クール系、温泉系、スキンケア系液体などどれも5~7%増で動くなど堅調な中、単品売りの個包装の分包タイプが20%近い伸び率を見せるなど、市場の活性化をリードする存在に成長している。分包タイプは、ドラッグストアだけでなく、コンビニやバラエティーストアでの展開も多く、特に、パッケージや機能面で「試してみたくなる」ような仕掛けを行う商品が多数ラインアップされている。市場拡大の背景には「贅沢な気分に浸りたい、自分へのご褒美にしたい、友人の誕生日プレゼントにしたい、また、通常の容量の商品の個包装があれば買う前に一度試したいという生活者の需要にぴったりハマった」(メーカー関係者)ことが、勢いを支える要因の一つにあると考えられる。
分包タイプは、平均単価についても年々上昇しており、2020年に185円だったものが、24年には243円と大幅に拡大している。1回分の入浴を贅沢なものにするために高単価でも出費を惜しまない生活者が増えていることがうかがいしれる。
顕著な個包装の伸び、クール系も猛暑背景に拡大
また、近年の猛暑は、クール系の伸びに影響を与えるなどプラスの効果を与えている。「最近では、4月からクール系の伸びが見られており、今年も同様の動きだった。7、8月にシャワーに移行する人も一定数いると思うが、その時期も引き続き好調を維持していた」(メーカー関係者)と課題でもあった夏場の活性化が見られている。
錠剤タイプの新たな価値の掘り起こしへ
主要メーカーのこの秋の展開では、花王は「バブ モンスターバブル」から、ブランド史上最大の白濁濃度の「よくばりミルキー」を発売。「強炭酸チャージ」と「白」をキーメッセージに展開する。
アース製薬は、新ブランド「オフロム スローリータブレット」を発売。高濃度重炭酸を訴求ポイントの一つにしたもので「あしたを想うご自愛スパ」をコンセプトに、錠剤がゆっくりと溶ける点を特長にゆったりとしたバスタイムの提供を図る。どちらの新商品も錠剤タイプであることから、機能性や情緒性の打ち出しなどの面で、錠剤の潜在ニーズ顕在化に対する期待値は高く、今後も広がりが見られることが考えられる。
また、今秋は、バスクリン「バスクリン」、アース製薬「バスロマン」の粉末ロングセラー2大ブランドがそろってパッケージを刷新した。アース製薬は来年1月、グループ会社でもあるバスクリンを吸収合併する。両ブランドがアース製薬の商品として展開されていく今後、市場動向にどういう変化が生まれるか注目されるところだ。
(詳細は「日用品化粧品新聞」10月6日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)