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【小売業スキンケアPB・マツキヨココカラ&カンパニー】シワ改善・美白「ザ・レチノタイム 」シリーズ

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【小売業スキンケアPB・マツキヨココカラ&カンパニー】シワ改善・美白「ザ・レチノタイム 」シリーズ

 エイジングケア・美白追求のシリーズとして市場開拓図る

 数多くのPBを抱え、中でもビューティー分野の商品開発で強い存在感を放つマツキヨココカラ&カンパニー。特に、昨年10月の統合に際し、ココカラファインがマツモトキヨシのPBの質の良さに魅力を感じたことが、両社を結び付けた一つの理由になったことなどから、ひと昔前の一般的なイメージでもあった「安さが取り柄」というPBの概念から脱却する戦略で、業界の活性化を図っている。
  2006年誕生「レチノタイム」。2020年にはシワ改善の「ザ・レチノタイム」にリブランド
 まだ規模の小さかったオーガニック市場にいち早く投入した“デイリーオーガニック”ブランド「アルジェラン」、コーセーと共同開発し昨年11月に発売した敏感肌向けブランド「レシピオ」など多様な商品がそろう中、最も顧客のリピート率が高いブランドは「ザ・レチノタイム」である。
 2006年に「レチノタイム」として発売し、2010年、15年とリニューアルを重ね、20年にはナイアシンアミドを配合したシワ改善の医薬部外品「ザ・レチノタイム」にリブランド。日本初となるシワ改善効果のあるUV乳液の他、化粧水、乳液、美容液、クリーム、シートマスクなどをそろえ、同一のシワ改善ブランドとして国内最多のアイテム数を誇るラインへと変貌を遂げた。
 この年の売上高は、前年の70%増を記録するなど大きく飛躍、今では累計販売数は100万個を突破する人気ブランドに成長している。更に今年6月には、美白シリーズの「ザ・レチノタイムホワイト」を発売。より幅広いユーザーの獲得で勢いを加速させている。
 市場に無い価値を、顧客データや店頭スタッフの声を反映させながら商品化
 小売業のオリジナルコスメで、ここまで確立されたブランドも珍しいと言える。差別化のポイントとしてどんな点が上げられるだろうか。
 「医薬部外品にリブランドした2020年当時の市場は、ナイアシンアミドを配合したものは、化粧水だけなど単品で、スキンケアのステップとしてシリーズ化したブランドは他にありませんでした。今は増えてきていますが、シリーズ全体としてナイアシンアミドを実感してもらうのは『ザ・レチノタイム』が先駆けだと自負しています」と語るのは商品開発部商品開発課の櫻井壱典次長。PBの開発には、あくまで市場に無い価値の構築や、満たされていないニーズの解決を重視しており、その結果、NBとはカニバリを起こさず、新市場の創造につなげているという。
 開発面では、社内で本部・店舗スタッフを問わずプロジェクトチームを設立。定例で会議を開いている。「ドラッグストアの店頭には約2万SKUの商品があります。そんな中で働くスタッフはお客様から『ああいった商品ないの?こういった商品ないの?』と常日頃聞かれており、実際に市場に無いものに気付いています。開発部門の担当者も毎日店頭にいるわけではありませんからね。
 『ザ・レチノタイム』シリーズも、店頭の化粧品担当者の意見が大きく反映されています」(櫻井次長)。市場の「空白」を埋めるべく、消費者に一番近い立場の人間の声を重視しているというわけだ。

 豊富な顧客データ活用し「買い物価値観」を徹底追求

 「買い物価値観」が分析できないものは開発しない  
 同社の強みでもあるアプリサービスの充実ぶりもPB開発には有効に働く。サービスを通し、これまで1億1000を超える顧客接点から得られるデータを蓄積しており、それを使って顧客の「買い物価値観」をはじき出している。
 「PBを開発する際、このNBはどういった価値観で売り上げが構成されているかを分析し、足りないものを埋めるようにします。例えば、流行に敏感で化粧品は専門店で買っている人をドラッグストアに呼び込むには、その価値観に合った商材が必要です。NBからのスイッチを促すのではなく、専門店からの流入を念頭に置いています。『ザ・レチノタイム』シリーズは、その分析を通して生まれたもの。高価格帯ながら順調に動いていることから、その目的は達成できているように思います。『ザ・レチノタイムホワイト』については、一つのシリーズとして秋冬はエイジングケア、春夏は美白ができるブランドが無いということで、エイジングケアの『ザ・レチノタイム』に続いて出したものです。お客様の価値観が分析できない限り、商品化することはありません」(櫻井次長)。
 NBとのカニバリを起こすことなく市場の活性化へ
 PBの存在意義としては、その商品を買うために来店するなどの「目的づくり」、他の商材も購入するなどの「買い上げ点数の増加」などが上げられる。それ以外に同社PBの特長はどういったものがあるのか。
 「先ほども申したように、NBとのカニバリを起こさないことや、豊富な顧客データを使って、メーカー様の商品開発をサポートすることなどを特長としています。また、小売業のオリジナルコスメが支持を集めることで『NBメーカー様の商品開発意欲をかき立てる』といった業界全体の活性化にも少しはお役に立てている気がします」(櫻井次長)。PBを拡充しつつNBメーカーとの良好な関係性をつくることが、同社の一つのポイントでもあるようだ。
 「企業理念の具現化」を推進するPBの存在意義
 PBの役割について追求するのは次の3点。「ユーザーニーズに応える」「ストアブランドのイメージ向上」「企業理念の具現化」だ。
 中でも「企業理念の具現化」については、新たに企業理念として「未来の常識を創り出し、人々の生活を変えていく」を掲げ、これを形にする姿勢を強く打ち出している。  「未来の常識は、今の非常識とも捉えていますので、チャレンジグな取り組みになることは間違いありませんが、NBには無いような今の常識を超えたPBの投入を現在計画中です」(櫻井次長)。
 マツモトキヨシHD、ココカラファインと元々ビューティーの売り上げ構成比が元々高い2社の統合で、PBも女性をターゲットにより強みを発揮することができる。特に、マツモトキヨシHDは、小売業のビューティー系PBのリーディングカンパニーでもあり、業界内外からの注目度も高い。更に、ビューティー分野との親和性も高いデジタル販促の精度も業界トップクラス。「ザ・レチノタイム」シリーズも個々人に向けた細かなサポートでユーザーの囲い込みを実現していることは言うまでもない。
 今後も、それらを強みに、女性のライフスタイル全体をターゲットと捉え、PBの展開には力を入れていく考え。 商品開発部商品開発課の早川龍二主事は「当社はビューティーを強みにこれまで市場を活性化してきましたが、まだまだやれることはあります。近年では、プロテインやロカボライフをサポートする食品など、コスメを中心にライフスタイル全体を捉えたPBの投入も進めています。売り上げを伸ばすためには、まずNBをしっかり販売すること。そこにNBでは埋めきれない需要に対応したPBの数字を上乗せすることで、売上増につなげていければと考えています」と、その存在意義を改めて強調。PBの固定観念を覆す価値を今後も追求していくという。生活者意識の変化や需要の多様化が激しい昨今、PBがその変化対応の先鋒を担う時代がすぐそこに来ていることは間違いなさそうだ。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」8月15日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で
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