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花王が「ダイナミックセル技術」と「加飾成形技術」を開発、自由度の高い多品種生産を実現

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花王が「ダイナミックセル技術」と「加飾成形技術」を開発、自由度の高い多品種生産を実現

 新システム導入で〝お一人様〟にも対応

 花王は、多様なニーズに対応できる柔軟な生産システムを構築したと発表した。B&R社、京都製作所と協働で、フローティングリニア技術を駆使し、効率的で自由度の高い少量多品種生産が可能な「ダイナミックセル技術」と、顧客の要望に合わせて商品をデザインできる「加飾成形技術」を開発、2023年中の稼働を目指す。これに先立ち11月10日、東京都墨田区のすみだ事業場でシステムに関する説明会を開いた。

 説明会では、SCM部門製造統括センター長・和歌山工場長を務める山口浩明上席執行役員先端生産技術担当、東京工場の小林英男工場長らが、システムの概要と今後の方針などを説明した。  新システムは主に、生産量が年間2万個以下の化粧品など少量多品種領域、また、更に個別の生産を行うパーソナライズ領域で活用する。
 ロボットとリニアによる搬送を高度に融合したダイナミックセル生産システムは、速度や仕様が異なる製品を混流して生産することが可能。生産品種の切り替えも柔軟、迅速にでき、更に完全無人化による生産も実現する。

 パーソナライズ領域で活用、全体的な生産性向上に寄与

 「1ラインに1製品を流すのが生産設備の常識だが、多品種の製品を流して生産することができるなどフレキシブルに対応できる」(小林工場長)ことで、パーソナライズ領域はもとより、全体的な生産性を飛躍的に高めるという。
 一方の加飾成形技術は「サイエンスとアートを融合した究極のパーソナライズ」として、フローティングリニアの自在な動きを活用することで、ノズルや筆で化粧品などの上に加飾できるもの。これまでの金型を用いて画像を転写するような一般的な技術では時間やコストの面から個々に対応することが難しかったが、今回の技術により、この課題をクリアした。まずはラインアートを用いた化粧品への装飾を提案し、更に技術を応用したサービスを模索する。「“お一人様”にでも提供できる価値」(同)として、多様化するパーソナルなニーズに応えていく。
 説明会では、会場内に実際の機器を持ち込み、デモンストレーションを披露、ラインアートの加飾を化粧品に施す様子を報道陣に披露してみせた。
 これら技術を開発した背景には、従来の大量生産に加えて、ニーズの多様化に対応するためモノづくりの速度と質の改革が必要との判断がある。
 「中期経営計画『K25』の中で、持続的社会に欠かせない企業になること、投資して強くなる事業への変革、社員活力の最大化などを掲げている。その中で、全てのサプライヤーから顧客のあらゆる場面を対象に、最先端技術の導入を加速し、モノづくり現場の生産性向上や働き方改革、レジリエントなサプライチェーンの構築を目指している」(山口上席執行役員)。
 加飾成形技術によるパーソナライズ商品の提案と、ダイナミックセル技術による自由度の高い多品種生産を実現し、必要なものを必要なだけ届けることで循環型社会に貢献するモノづくりを推進する考えだ。
 フローティングリニア技術とは
 磁力による反発力、または吸引力を制御するプログラミングにより、永久磁石を内蔵した物体を浮遊させ、自在な動作が可能となるリニア搬送システム。
 高速・高精度で複雑な搬送が実現でき、柔軟性と生産性の両立が可能となる。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」11月21日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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