【エステー24年3月期決算】減収減益、原材料高騰など響く

エステーの2024年3月期決算は、防虫剤や手袋、暖冬によるカイロの落ち込みなどから、売上高は前年同期比2・4%減の444億7200万円。利益面では、主要品目で値上げを実施したものの、引き続き原材料価格上昇に伴うコストアップ、新規事業への投資による一時費用の増大、人件費など販売費、一般管理費が増加して減益となった。
カテゴリー別売上高は、全体の45・5%の構成比を持つ主力の消臭芳香剤などエアケアで2・5%増と堅調な推移を見せたが、防虫剤など衣類ケアで10・6%減、手袋などハンドケアで3・2%減、カイロなどサーモケアは10・4%減と苦戦した。除湿剤など湿気ケアは3・4%減、展開を本格化させるペットケア用品を含むホームケアは0・6%増。
これらの実績につながった各カテゴリーの概況として、エアケアは高付加価値品の強化を図り実績を伸ばす一方、新商品も伸びに貢献した。衣類ケアは、クローゼットやウォークインクローゼット用の吊り下げ収納タイプへの注力、大容量タイプの拡充などを進めた一方、外出機会の増加が低迷につながった。また、秋季の販売機会ロス、今春の気温の影響などから衣替え時期がずれ込んだことも影響した。
サーモケアは収益構造の改革を推進し、カイロの販売価格を見直して利益改善が進んだものの、暖冬による需要減、価格競争力の低下により減少につながった。ハンドケアは業務用手袋の拡販に努めたが、衛生意識の高まりによる需要が一時より落ち着き薄手や使い切りの極薄手タイプも落ち込みを見せた。湿気ケアは主力シリーズの拡売を強化し高付加価値品へのシフトを図った。タンクタイプの除湿剤が値上げもあって貢献する一方、シートタイプは落ち込んだ。ホームケアは、ペットケア用品で新商品を投入するなど強化。他の分野でも育成を進め微増となった。
営業利益は約11億円の減少となった。値上げや製造原価低減、廃棄損や棚卸資産評価損の減少、マ―ティング費用の減少が利益増に働いた一方、原材料価格の上昇、販売数量の減少、マーケティング費用を除く販管費の増加などが大きく影響した。
(詳細は「日用品化粧品新聞」5月13日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)