【あらた・25年3月期決算】増収増益確保、売上高1兆円挑戦へ

あらたの2025年3月期決算は、連結売上高で前年同期比4・5%増の9862億1200万円、各利益でも過去最高を更新したものの、利益面で当初計画に対し未達だったとして、次期の経常利益計画を下方修正した。決算発表に伴い5月13日、オンラインで説明会を開き、東風谷誠一社長が概要と今後の方針を説明し売上高1兆円、更に次の目標へ向けた取り組みを進めていくとした。
会の冒頭で東風谷社長は「現在は、中期経営計画の最終年度に向けて重要なタイミングであり、また、次期中期経営計画を策定していく段階でもあり、この先を見据えた成長を現実のものとするため、成長戦略や基盤強化策の見直しが必要と考え、いくつかの構造改革を実施した」と述べ、今後の施策への理解を求めた。
本決算の業績を踏まえ一部目標を下方修正。当初は中計2026の目標であった経常利益200億円を、27年3月期での達成を目指すこととした。
売上高は10期連続で最高を更新し「着実な成長拡大が図れた」(東風谷社長)。注力してきたヘルス&ビューティー、ペットの各分野の成長が奏功したことに加え、専売品や優先流通品の売り上げ拡大も寄与した。合わせて、大容量品や高付加価値品の増加で商品単価が向上、コンビニエンスストアなど新規小売業との取引開始、インバウンド需要による売り上げ拡大もプラスに働いた。
経常利益も、下方修正したとはいえ2期連続で過去最高を更新。売上総利益率は一時的なマイナス要因があったが、化粧品などの専売品が好調に推移した他、商品単価の向上で4・1%増加した。販管費は、将来に向けた社員数増加、正社員・パート社員の待遇改善など人的資本投資による人件費増加、2024年問題の影響による想定以上の物流費増加などで4・3%増加したが、売上高の伸びが販管費の増加を吸収して、販管費率が0・01ポイント改善した。
カテゴリー別売上高は、メイクアップやスキンケア商品を中心に売り上げを伸ばしたヘルス&ビューティー分野が5・8%増、商品単価向上やペット高齢化による高付加価値フードが好調のペット分野も5・9%増と堅調に伸びた。「今後も戦略的な拡大を推進していきたい」(東風谷社長)考えだ。また、紙製品4・1%増、ハウスホールド3・6%増、ホームケア4・0%増ながら、家庭用品は1・1%減だった。
得意先の業態別売上高は、インバウンド需要や新店・新規取引が増えたドラッグストアが3・4%増、ディスカウントストア9・3%増、ホームセンター6・2%増と伸びを示した。スーパーは1・0%増、GMSは4・5%減。
中計2026では、戦略として卸売業以外の領域拡大を目指しメーカー機能を推進してきたが「当初は想定していなかった計画との乖離と遅れが発生し、利益獲得に遅れが生じている」(東風谷社長)として、メーカー機能の成長戦略の見直し、構造改革の実施などを推進する。
更に想定以上の人件費や物流費の増加について、社員の給与水準の引き上げを実施し、庫内の生産性向上、サプライチェーン全体での効率化を進めるなど対策を進めている。
次期の中期経営計画に向けては、当初は30年の目標だった売上高1兆円を26年3月期に達成、27年3月期には1兆500億円を目指す方針。
連結
▽売上高=9862億1200万円(前年同期比4・5%増)▽営業利益=149億8900万円(同3・3%増)▽経常利益=156億1700万円(同1・8%増)▽親会社株主に帰属する当期純利益=103億5800万円(同0・4%増)
次期見通し
▽売上高=1兆円(前年同期比1・4%増)▽営業利益=172億8000万円(同15・3%増)▽経常利益=180億円(同15・3%増)▽親会社株主に帰属する当期純利益=117億円(同12・9%増)
(詳細は「日用品化粧品新聞」5月19日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)