【春の新商品】「ブランドの信頼」鍵に一つ上の価値構築へ

物価高による生活者の節約志向が強まる中、各メーカーはこの春、どういった商品価値を訴求し、購買意欲の喚起を図っているのか。新たな大型ブランドの投入というよりは、認知度の高い定番ブランドへの新機能の搭載や世界観の表現を図った商品展開で、生活者に対する信頼の第一歩を確実に獲得、そこから更に一つ上の価値を構築しようとする動きが垣間見える。成長市場の勢いを更に加速させるような今春の付加価値品の存在を見てみる。
人口減少が進む国内市場において「付加価値化」の提案による単価アップは、企業及び市場発展に必要不可欠なファクターと言える。
今春は、ここ数年の流れに続き、生活者への認知度が高く「この商品を買っておけば間違いない」といったブランドに、新たな機能や世界観を打ち出したアイテムが多く見られるようだ。
まず、成長著しいハミガキ市場の動向を見てみる。昨年のハミガキ市場は前年比約8%増と引き続き高い成長性を維持した。
昨年は、花王が日本初の炭酸発泡ハミガキ「ピュオーラ炭酸ハミガキ」や「ディープクリーン薬用温感ハミガキ」など、歯周病予防や美白といった、症状や効果とはやや切り口を変えた新商品が話題となった。今春は、ライオンが「システマ ハグキプラス プレミアム ハミガキ」を刷新。“抗糖化”“歯のエイジングケア”を打ち出した。また、サンスター「GUM」からは“金”の「プレミアム」シリーズが登場。「システマハグキプラス」「GUM」のようにユーザー層からの信頼も厚いブランドがプレミアム化を深掘りしたことで、更なる市場の単価アップが期待される。その他、新興企業や韓国企業の高単価ハミガキも追加されており、このカテゴリーはこれまでも進んでいた“コスメ化”の傾向が進みそう。
殺虫剤・虫ケア用品でも市場を大きく左右する商品が登場している。昨年、約3%増と堅調だった、火も電気も電池も使わない置き型蚊取り市場に投入された、アース製薬の「アースOH!ノーマット」。これまで大日本除虫菊の「シンカトリ」がパイオニアとして新市場を構築してきた中、今後は二つのブランドにより、まだまだ新規剤型でもある置き型蚊取り市場の拡大を実現する。
化粧品カテゴリーはどうか。新たなステージに向かって挑戦するブランドが目立つようだ。ファイントゥデイ「uno」は、シャンプー市場に参入。「ウーノオールインワンシャンプー」は、頭皮を“ガシガシ”洗ってしまう男性特有の「ガシガシ悪習慣」に着目したもので「シャンプー・トリートメント・スカルプケア」に加え、髪の形状や質感を整えてスタイリングがしやすい状態へ導く「ベースデザイン」の四つの機能を1本に集約した。久々の大型商品投入ということもあり、成長する男性用市場の店頭がどう変わるか注目される。
洗顔料市場で20年連続売り上げナンバーワンブランドの花王「ビオレ」からは日本初の“隠れ角栓まで自己崩壊”させるという新技術を搭載した「ビオレおうちdeエステディープクレイ洗顔」が登場。昨年の市場規模が19年比で71%増と伸びが顕著な毛穴対策品市場の勢いを、新技術の活用で更に勢いづける。
サンケアブランドでは資生堂が「アネッサ」から、スキンケア機能を充実したジェルタイプの「パーフェクトUVスキンケアジェルNB」「ブライトニングUVジェルNA」を展開。従来品のゴールドから刷新し、白いパッケージが特徴的な“白のアネッサ”として提案する。コーセーは、独自の技術力を結集した高効能特化型ブランド「ワンバイコーセー」から美白美容液「メラノショットP」を発売。こちらも従来品から容器を刷新し、基調色を黒から白へと変えており、塗布した瞬間から輝くような「発光ツヤ成分」を新配合した。
物価高や先行き不透明な昨今、「実績のあるブランドから出た品質への信頼感」が市場拡大をどこまで後押しするか。いずれにしても独自性のある魅力の打ち出しは市場活性化に必要不可欠と言えそうだ。





