食品の50％をPB化するセブン-イレブン／セブン&アイ HD３社のPB・NB比較
購買データから『買う』を分析する<user's VOICE> Vol.10
セブン&アイ ホールディングス３社「PB・NB比較」
【寄稿＝ソフトブレーン・フィールド株式会社】
2020年2月までにセブンプレミアム4200品目へ拡大
各社が注力するプライベートブランド（以下ＰＢ）。中でも業界最大手のセブン＆アイホールディングスのＰＢ「セブンプレミアム」は昨年10周年を迎え、総品目数は3600品目、5ブランドを展開。多様な業態によるグループ店舗での販売戦略によって国内最大級のブランドに成長し、16年度は1兆1500億円を売り上げた。今回は注目3社の現状をレポートする。
ＰＢ割合1位「食品」 日用雑貨も拡大傾向
当社独自のデータを元にセブン＆アイグループからコンビニ売上及び店舗数ナンバーワンの「セブンイレブン（ＣＶＳ）」、全国に出店する「イトーヨーカドー（ＧＭＳ）」、東北・北関東エリアを中心に出店する「ヨークベニマル（ＳＭ）」のＰＢとナショナルブランド（以下ＮＢ）について消費者の購買行動を分析する。
購入レシートを「食品」・「飲料」・「日用雑貨」・「酒」・「その他（医薬品／美容・健康など）」の5カテゴリの合計におけるＰＢとＮＢの構成比を調査した結果、セブンイレブンではＰＢの割合が3割と高く、スーパー2社は1割にも満たなかった（図1参照）。セブンイレブンのＰＢ購入者は単身者だけではなく、主婦や働く女性も多く、生鮮食品や高付加価値チルド惣菜の「セブンプレミアムゴールド」などの投入が奏功していることが伺える。
ＰＢの割合が高いカテゴリは、3社すべて1位が「食品」だった（図2参照）。「食品」におけるＰＢの割合は、セブンイレブンが45・9％と約半数近くを占めた。イトーヨーカドー（12・7％）、ヨークベニマル（10・1％）よりも30ポイント以上の差をつけ、食品カテゴリ内におけるＰＢの強さを見せた。
セブンイレブンでは「日用雑貨」の割合が32・7％とスーパー2社と比較して高いことも特徴的。食品・日用雑貨といった生活必需品のＰＢを強化していることがわかる。
国内最大規模のＰＢ「セブンプレミアム」好調
ライフスタイルに特化したシリーズも展開
セブンイレブンの日用雑貨のＰＢ「セブンプレミアム ライフスタイル」は、「くらしを豊かにするブランド」として17年3月にスタート。比較的新しいブランドでありながら、高い品質とセブンプレミアムのブランド力、充実のラインアップなどによって消費者に選ばれている。
そこで「セブンプレミアム ライフスタイル」シリーズの中からティッシュペーパー、トイレットペーパー、マスクの3点をピックアップ。ＰＢとＮＢの構成比をもとに、購入者のコメントから支持される理由を分析する。
- なめらかな肌ざわりポケットティシュー20パック
「肌にやさしいものを購入しようと来店したが、購入目的の商品がなく、ＰＢ商品を試し買いした。肌触りがよい（40代男性）」、「手持ちのティッシュがなくなりそうだったので、セブンイレブンでポケットティッシュを購入。量も多く紙質が柔らかく使いやすい（40代女性）」
- やわらかマスクふつうサイズ7枚入り
「セブンプレミアムのこの商品が価格も安いが、耳も痛くなりにくいことがパッケージでわかった。生地の肌触りも柔らかい（50代女性）」、「店内で一番安いものを購入するため来店し購入。この値段にしては個包装で使いやすい（30代女性）」
- 植物の恵みで肌にやさしいボディソープ
「ボディソープがなくなりお得感のある価格のＰＢを購入した（20代男性）」、「すでに本体を購入し愛用しているので、詰め替え用を思い出した時に購入している。やさしい香りでよい（40代女性）」
セブンイレブン、食品の約５０％をＰＢ化
女性の社会進出や高齢化、安心安全志向などますます多様化する生活者のニーズに応えるため同社では、セブンプレミアムの商品数を20年2月までに4200品目に増やすという。誰もが来店機会のあるコンビニエンスストアで、あらゆるターゲットに合うＰＢを展開することがブランドの認知を上げ、グループ全体での価値の連鎖につながる。単なるＰＢではない、クオリティーブランドへと進化を続けている。
