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【拠点探訪】PALTAC 大型物流センター「RDC新潟」竣工/最新技術と物流ノウハウ融合

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【拠点探訪】PALTAC 大型物流センター「RDC新潟」竣工/最新技術と物流ノウハウ融合

次世代型物流システム初採用

 

 PALTACは、新潟県見附市に建設していた大型物流センター「RDC新潟」を竣工、8月から稼動する。敷地面積2万7821・28㎡、延べ建築面積2万911・97㎡の規模を誇り、総投資額は78億3000万円、年間出荷能力は250億円。これに伴い7月24日、取引先など関係者を招き同所で竣工披露見学会を実施。田代雅彦取締役専務執行役員物流・情報システム統括本部長、嶋田政治常務執行役員経営企画室長、三木田雅和研究開発本部長主任研究員、佐塚大介物流本部副本部長が出席し、記者会見も行った。

 信越エリアにおける業容拡大に対応する出荷能力の拡大や、労働人口減少に伴う人手不足の状態でも安定して出荷できる体制を確保したRDC新潟の最大の特長は、AIやロボット技術などの最新テクノロジーと同社が培ってきた物流ノウハウを融合させ、独自開発した次世代型物流システム「SPAID(Super Productivity Advanced Innovative Distribution)」の導入第1号施設として、大幅な生産性向上を実現したこと。理論上は従来と同じ作業人員で2倍の作業量を処理することを可能とする。

 これは、人ではなく商品が動くことで、ピッキング作業の際に歩く時間や探す時間を削減できるという、独自に開発した「MUPPS(Multitaskcrane Piece Picking System)」の採用により、従来よりも高い生産性と精度で、多数の人員を要するバラピッキング方式を一新したことによる。「将来の労働人口の減少を見据え、少ない人数でも運営できるほど生産性が高く、人手不足が起きても対応できる施設」(田代専務)として、ハイスピードのピッキング「マルチタスククレーンシステム」、クレーン作業の能力拡大を図った「新クレーンシステム」、高速入出庫を実現する「自動倉庫最適配置アルゴリズム」の採用など、効率化につながる設備、システムを多数導入した。「膨大なデータや独自のアルゴリズムを活用し、需要予測システムやロケーション配置などを取り入れたことで、能力を最大限に発揮できる環境」(三木田本部長)を整えており、将来的にはバラピッキングの完全自動化なども見据えているという。

 また、危険を伴う作業や人への負担が多い重量があるものの持ち運びなどをロボット化することで“人に優しい物流センター”としている。カメラやビジョンセンサーなどの“目”があるため様々な形状やサイズのケースの認識を可能とし、かつAI=“脳”があるため認識した情報をもとに適切な指示を出すことができる「AIケースピッキングロボット」はその一例。決められた同一動作しかできなかった従来のロボットと異なり、任意の位置から任意の位置への搬送を可能としており、更には1時間に600ケースのピッキングを実現するなど“世界最速”のスピードで作業を進めることができる。これにより、パレット自動倉庫からのケース出荷業務の完全自動化を実現。加えて、製品ケースの自動カット率向上につながる新型「オートカートンカッター」導入など、事故の減少にもつながる仕組みを取り入れている。

 SPAIDについては、同所において運用ノウハウを蓄積しつつ、今後も更なる研究開発を進める。2019年冬に開設予定であり、年間出荷能力1000~1200億円と同社最大規模となる物流施設「RDC杉戸」などへ導入していく。同社としては、これまでの卸売業の枠にとらわれない流通改革に挑戦し、顧客満足の最大化と流通コストの最小化を目指して生産性向上を図り、インフラ企業として役割を果たしたい考えだ。なお、近隣に位置するRDC見附(旧RDC新潟)については、機能を順次RDC新潟に移転した後、閉鎖する予定。


効率化につながる設備、システム多数導入


 記者会見では、センターの概要や新しく導入したシステム、設備について解説。嶋田常務は「今期は120周年で、売上高1兆円に挑戦し、RDC新潟の竣工で新しい仕組みを取り入れた物流センターの運営をスタートするという、三つの意味でメモリアルな年」と強調。「当社は年間30億個、つまり国民一人当たり25個の商品の流通に携わっている。今後もサプライチェーンの全体の最適化を進めていきたい」と意気込みを表した。RDC新潟については「今年5月に発表した中期経営計画の副題に掲げた、『流通改革に挑戦』の第1弾となる施設。新技術を取り入れ、私どものノウハウと融合し、挑戦を続けていく」と力を込めた。また田代専務は「数年前に研究開発本部を立ち上げたが、その成果がお披露目できる最初の場。より先進的なものを協力会社と一緒につくり上げていく方針を取っているが、我々が研究開発しシステムの頭脳に取り入れていく独自のアルゴリズムなどは、他社と競争していく上で強みとなる部分」と自信を見せた。

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