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【提案強まる防災カテゴリー】進む「備え」の店頭構築

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【提案強まる防災カテゴリー】進む「備え」の店頭構築
注目される「簡易トイレ」

 近年、生活者の関心が高まり続ける防災用品。大規模な自然災害の発生及び避難所などでの生活が報道で取り上げられるたびに「備えあれば」のニーズが強まり、市場は着実な成長を遂げている。メーカーは潜在ニーズを顕在化する商品の投入、あるいは既存品の防災シーンの使用提案などを接客的に推進、小売業も防災用品売り場を拡大するなど、一大カテゴリーとして存在感を増しつつある。
 各卸売業の商談会でも提案される機会が増えた防災用品。身近なものでは、水や非常食を始め、電池、懐中電灯、ラジオ、トイレットペーパー、簡易・携帯トイレ、コンロ・ボンベ、アルミシート、ラップ、ローソク、ドライシャンプー、マスク、生理用品、土嚢、また、オーラルケア用品、化粧品など、自宅や避難所での生活を想定した製品の対象範囲は実に幅広い。
 社会の動きでは、昨年8月、宮崎県南部で最大震度6弱の地震が発生。気象庁は初の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。それを受け、生活者の防災意識、備蓄意識が一気に高まり、全国的に対象商品の売り上げが急上昇。8月はメーカーの夏期休業もあり、一時店頭は品薄状態となり、物が無いことによる連鎖で、電池など欠品が続く商品も見られたという。
 簡易トイレの提案及び販売意欲が高まる
 こういった状況から各小売業、卸売業は、日頃から「備え」への意識の醸成と、実際の行動を促すような店頭づくりを進めている。特に今年は、前年対比という意味で販売計画の高い8月及び「防災月間」でもある9月に店頭発の訴求を強める考えだ。
 商品面では、これまで店頭にあまり無かったもの、今後の伸びが期待されるものとして注目されているのが、段ボール製の簡易トイレ。政府は昨年、自治体の避難所での仮設トイレの準備を、災害発生直後は「50人に1基」、その後は「20人に1基」の「スフィア基準」の指標を制定。この報道が、自治体関係者や一般生活者が簡易トイレへの関心を更に高めるきっかけとなった。各卸売業の展示会では、この簡易トイレの提案を拡充しているところが多く、単価も1000円台後半~2000円台後半と高単価であることから、業界内でも「簡易トイレへの小売業の取り扱い意欲は非常に高い」(卸売業関係者)と拡販を強める傾向にある。組立式でかさばらないため、ドラッグストアやスーパーでも陳列しやすいというのも、扱いが増える一つの要因と言えるだろう。
 目立つ防災商品投入や情報発信の強化
 メーカーの動きにも変化が見られる。その多くが、これまでにない価値を持った商品の投入というよりも、既存品に防災用としての価値を加えたものを新製品として投入したり、既存品の防災用としての新たな使用を自社サイトで提案したり、といった潜在需要の掘り起こしを狙ったものが目立つ。特に後者は、防災とは関連性の薄いイメージのある化粧品も、旅行用などに使うミニサイズのスキンケア用品やドライシャンプーなどを、万が一の「防災コスメ」として訴求が一部進んでいる。
 卸売業の提案では他にも、ローリングストックや、1日・1週間・1カ月など期間に分けての備えなど提案の幅が広まっている。一大カテゴリーに成長する秘めたポテンシャルに期待を抱く業界関係者は今後ますます増えそうだ。

(詳細は「日用品化粧品新聞」8月1日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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