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【拠点探訪】ウエルシアホールディングス/強さを生かした店舗展開で勢力拡大中

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【拠点探訪】ウエルシアホールディングス/強さを生かした店舗展開で勢力拡大中

 ドラッグストア業界最大手のウエルシアホールディングス。中堅ドラッグストアとの統合を進めながら、独自の“ウエルシアモデル”を導入し、各エリア、店舗の強化を図っている。東京都内を対象に、もともと得意とする郊外型の店舗と合わせて、これから拡大することが予想される都市型の店舗を視察した。

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足立西新井店

(足立区西新井)

 6年ほど前に開店した郊外型店舗で、売場面積は約300坪と標準的な規模を持つ。特徴は24時間営業(調剤は午前9時から午後7時まで)であること。東武スカイツリーラインの竹ノ塚駅と日暮里・舎人ライナーの谷在家駅の間に立地し、店舗の向かい側には小学校と高校、反対側には団地が立ち並ぶ住宅街の中にある。

 一方で周囲には競合も多く、セイムス、ツルハ、ぱぱす、クリエイトなどとしのぎを削る。調剤薬局も少なくない。しかし、この店舗の強みは、24時間営業であることに加えて、品ぞろえの豊富さ、確かさにある。処方箋枚数も同規模の店舗より多い。6月の月間売上高は、昨年同期比で約1000万円上回る9700万円。現在も2桁増が続いているという。

 店内で他店より大量に陳列されていたのは、シャンプー・コンディショナーのヘアケア製品、男性用化粧品などの他、洗剤・柔軟仕上げ剤、生理用品なども扱い品目の多さが際立っていた。暑い夏場にも関わらず、入浴剤も需要期並みに展開しているのが目を引いた。

 単独メーカーの商品を集中的に展開するコーナーもあり、この時は花王の掃除・洗濯関連品が並んでいた。また、季節柄、需要の高まる殺虫剤は、除湿剤も隣に陳列、更にその隣には人体用の虫除け、虫刺され薬を並べていくなど、関連性を重視した陳列が目立った。

 エンド売り場では、テーマを設定して関連アイテムを一堂に並べるパターンが多い。「美人美容液」として、コーセーの「ONE BYKOSEメラノショット」、ロート製薬「オバジピーリングV10エッセンス」とともに小林製薬「ケシミンクリーム」、コーセーコスメポート「クリアターンシートマスク」などを陳列。オーラルケア分野では、花王「ピュオーラ泡で出てくるハミガキ」に加え、宇津木産業「マスティック&マヌカハミガキ」、ゼリア新薬工業「マスデントプロ」といった高額品を集め、商品情報と合わせて紹介していた。

 力を入れるという食品・酒類も豊富にそろう。セイコーマートから調達するワイン「G7」は、売れ筋商品として大々的に陳列。その他、日本酒や焼酎でも全国各地の銘柄をそろえてニーズに応えていた。

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足立新田店

(足立区新田)

 足立西新井店から西へ約5、荒川を渡り、隅田川を越える手前に立地するのが足立新田店。同じく郊外型の店舗で、約270坪の売り場面積を持つ。24時間ではないが、9時から24時までの長時間営業。昨年2月の改装オープンから、着実に売り上げを伸ばしている。処方箋枚数も徐々に拡大傾向にある。

 この店舗の特徴は何と言っても、食品の構成比が高いことにある。売上高のうち、食品と酒類合わせて4割以上を占める。「開店直後は食品、雑貨などの出足が早い。調剤はまだ5%程度だが、これからこちらも伸ばしていく」(担当者)という。

 入口付近には、季節性のある花火セット、塩分タブレット、水遊び用具などが並び、店内に一歩踏み入れば、ウオータサーバーが詰替用ボトルとともに置かれている。また、熨斗袋、線香・ローソクなども並ぶ。

 特に目立ったのがボディソープ売場。香り、保湿、ボタニカル系、男性用、におい対策などのコンセプト別に多くのブランドを島陳列で大量に積み上げていた。またエンド売場では「アイメイク」をテーマにイミュ「デジャヴュ塗るつけまつげ」、クオレ「1DAY TATTOO」などのアイテムが並んだ。雑貨の品ぞろえも多く、水仕事を意識した手袋と食器用洗剤の一体陳列、掃除用品なども充実している。

 ウエルシアが地域貢献の一環として設置を進める、住民らが店内のスペースを休憩など自由に使える「ウエルカフェ」が、調剤室の前にある。セイコーマートから調達する弁当・惣菜、宅配ロッカーの設置など、より地域に根付いた店舗を目指している。

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ハックドラッグ

中野富士見町店

(中野区弥生町)

 「ハックドラッグ」の名称を残しているが、これから拡大を目指す都市型店舗として位置づける。東京メトロの中野富士見町駅からほど近い立地で、行き交う住民も多い。ビルの1階に店舗を構えた改装オープンは今年3月だが、入居する建物は築数十年と見られ、2階に内科クリニック、それより上層階は住居。売り場面積は90坪ほどで、ニーズや環境に合わせた絞り込んだ品ぞろえで展開する。

 近隣住民の高齢化が進んでいることもあり、主力は調剤で、全体の35%を占める。次いでヘルス&ビューティーが2割強、食品と酒類合わせて2割弱といった構成比。確かに、決して大きくない店舗内で、シャンプー、ボディソープ、スキンケア、メイクといったカテゴリーの充実ぶりが目を引く。雑貨は最小限必要なものに絞り込まれ、店内で最も通路が狭いスペースでの定番展開がほぼ全て。その分、店の外に衣料用洗剤、洗濯ピンチ・ハンガー、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどを積んでいた。

 メインとなる調剤室の前は、狭いスペースを効率的に活用し、介護用品、衛生材料、ハンドソープ、マスク、血圧計など、関連性の高いアイテムをコンパクトに陳列している。

 一方、この5月に近所で新たな食品スーパーが出店したことで、食品の売り上げに影響を及ぼしているという。このカテゴリーの売上高は約15%減少しており、今後の課題の一つとなりそうだ。それでも、各店への導入を急ぐコーヒーマシンや、オリジン東秀から調達する弁当・惣菜を中心に、加工食品、菓子など「よりターゲットに適した品ぞろえを的確に行っていく」(担当者)ことにより、巻き返しを図っていく考えだ。

◇◇◇◆

神田小川町店

(千代田区神田小川町)

 東京メトロ・淡路町駅、都営線・小川町の出口すぐのところ、神田や秋葉原も近く、まさにビジネス街のど真ん中で営業する都市型店舗。売り場面積は110坪程度で、入り口はガラス張りと、都会的な雰囲気を醸し出している。

 主要な客層はサラリーマン・OLといったオフィスワーカー。住宅街の店舗とは当然ながら品ぞろえが異なる。最も際立っているのはランチタイムの需要に答える弁当、カップ麺などの食品。パン類などは近くのコンビニより充実している。オフィスでつまめるような菓子も多い。弁当はオリジン東秀からで、ボリュームのあるもの、健康に配慮したものなど数種類。合わせてコーヒーマシンが数台並び、ドリンク類の品ぞろえも多い。

 日用品・化粧品では、サラリーマン男性客を狙った男性用品が売り場を広げている。カミソリ、化粧水、整髪料、制汗シート、消臭剤などは豊富にそろう。ティッシュは保湿剤入りなど高級ラインを少々、加えて、紙製やプラスチック製の皿、コップ、あるいは文具も充実している。生理用品は少入数のものが中心。パンストやマスクなども目立った。

 この日は最高気温が40度に迫ろうかという猛暑で、需要を見越して店頭に並べた飲料水、塩分タブレット、制汗シート、冷却剤などが飛ぶように売れていた。

 今後の出店戦略

 ウエルシアの出店計画について水野秀晴社長は「今期は120店舗以上を目指している」と言い、ここまでは順調に推移していると明かす。

 また、ウエルシア薬局の師岡伸生副社長は出店戦略について「都市型店舗とひと口に言っても、住宅地とビジネス街では品ぞろえも展開も異なる。立地の特性も考慮して調剤を核にOTCやビューティー分野を充実させ、更にどう専門性、便利性を持たせるか。その店に足繁く通ってもらいつつ、健康・美の相談事に応えていけるようにしていきたい」と語る。新谷励副社長もそれぞれの商品構成について「例えばドリンクなどは都市型店舗では50%以上が1本売り。郊外型店舗では2割程度にとどまる。マスクも郊外型では箱入りが中心だが、都市型では5枚、10枚入が動く」と説明し、化粧品については「都市型では多くのブランドを扱えるようにしていきたい。郊外型では3尺単位のものを2尺単位として扱い数を増やすことで、多様化するニーズに応えていく。特にメイク関連は、20〜30代の女性客が多くなるビジネス街の店舗では拡充していく」として、ウエルシアモデルを基本としながらも、地域に根ざした展開が重要との考えを示した。

 反面「都市型店舗では地代が高く、チラシ販促を入れない、従業員が少ないので総人件費は抑えられるとはいえ、利益を出すまでには時間がかかる。それでも今後、都市部に生活者が集まるようになることから、そうした店舗を着実に育てていくことが一つの戦略と言える」(水野社長)。郊外型についても「もう物件がないと言われているが、当社の強みを生かせる場所であれば、競合の真隣にでも出店していく。特に都市型の比率を高めていくわけではなく、それぞれについて適切な出店を進めていく」(同)という。

 

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