【有力メーカーのD2C施策】ポーラ・オルビスHD/企業価値向上に向けCVC活用

グループ戦略強化につながる動き
2021年度から23年度のグループ中期経営計画では「ポーラ」「オルビス」といった基幹ブランドの安定収益確保と共に、成長戦略への投資を積極的に進める姿勢を明らかにしているポーラ・オルビスホールディングス。スタートアップ企業に投資を行うCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)などを活用した新ブランドの立ち上げ、M&Aなどによるポートフォリオの強化といった、新規事業創出に向けての取り組みにも意欲を見せる。今年4月には、事業ポートフォリオの拡充及び中長期的な事業成長に向け、CVC事業の出資先であるトリコ社を完全子会社化。「多様化する美の価値観に応える、個性的なブランドの集合体を目指す」というグループの戦略強化につながる動きには、注目が集まっている。
五つの投資テーマを設け
同社のCVC事業は18年に開始。総合企画室コーポレートベンチャーキャピタル担当・岸裕一郎氏の企画が社内ベンチャー制度の公募で採用され、スタートしたものだ。現在、事業は主に2人で担当。D2Cブランドの出資に関しては「既存の産業構造に課題のある業界」「UI・UXに可能性のある事業」「アジアや日本の強みが活きるプロダクト」「ブルーオーシャンな領域」「個のエンパワメント」という五つの投資テーマを設け、出資先を選定している。岸氏はアパレル、コスメ、サプリメント、食品といったカテゴリーのシードからアーリーステージを担当。1社当たり平均投資額5000万といった規模で、D2Cブランドヘの出資は約10社、全体の5割ほどを占めているという。