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【特別インタビュー/サラヤ 山田哲事業本部長】社会と企業のサステナビリティのために

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【特別インタビュー/サラヤ 山田哲事業本部長】社会と企業のサステナビリティのために

 人権と環境に配慮して生産された認証植物油の普及を

 サステナブルな社会の実現へ向けて、各産業界で企業の取り組みが活発さを増している。「衛生」「環境」「健康」を中心に据えた事業を進めるサラヤは、以前から様々な社会貢献活動を行っていることで知られるが、SDGsという言葉が注目される中、一段と注目度を高めている。コンシューマー事業本部の山田哲事業本部長に、最近の状況や今後の考え方を聞いた。
 ――これまでも、現在も、企業としての取り組みがサステナブルな社会につながるものとして各方面で認知されていますが、これについてどう見ていらっしゃいますか。
 「様々な提案をさせていただいていますが、サラヤは創業からSDGsに取り組んできたと言えるかと思います。かつて、創業のきっかけとなった日本初の薬用せっけん液は、当時流行していた感染症で、誰もが等しく、その脅威から逃れられることを考えて開発されました。これはSDGsの「すべての人に健康と福祉を」です。また、高度成長期には、コストに優れる石油系洗剤が優先の時代があり、生態系にも影響を及ぼしていました。これに危機感を持った当社の創業者が、50年前に初めて植物性の原料を用いた食器用洗剤『ヤシノミ洗剤』を製品化して発売しました。現在では、使用する原料の調達について、PSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)に参画し、人権と環境に配慮して生産された認証植物油の普及に取り組むと共に、熱帯雨林で暮らす野生生物を守りつつ、パーム油をサステナブルに調達していくため、対象商品の売上の1%でボルネオの環境保全活動を20年近く続けています。これは『つくる責任 つかう責任』に当たりますが、当社としては当たり前に行ってきたことが、SDGsの目標の一つひとつに該当しており、その活動に理解をいただけるようになってきたのは事実です」

 創業70周年を迎え、更に新たな事業にチャレンジしていく

 ――そうした考え方と行動が、今の御社の地盤をつくり上げているものと思われます。
 「原料ひとつ取っても、そうした活動で守っていかなければ、我々は製品をつくり続けることができません。中でも生物多様性を守ることは非常に大切です。2025年に開催される大阪・関西万博では、当社・更家悠介社長が理事長を務めるNPO法人ゼリ・ジャパンが『ブルーオーシャンパビリピオン』を出展します。これまでの森や陸を守る活動に加えて、社会問題化する海洋プラスック問題に対応し、海の生態系も守っていくことを提案するものです。産業界では、プラスチックを使わないという動きは進んでいますが、すでに流出してしまった海洋プラスチックをどう処理するかとの議論はほとんどなされていません。海の持続的な活用のために何が必要なのか、課題に向き合って解決へ向けたキャンペーンを展開します」
 ――今後の活動に対して、ビジネスの現場における期待も大きいものがあります。
 「25年の大阪・関西万博、30年にはSDGsのゴール、50年にはカーボンニュートラル、CO2排出ゼロを達成するという大きな目標があります。これに対して流通の方々、関係者の方々は非常に大きな関心を持っておられるように感じますし、活動も広がってきました。例えば当社では『セブンプレミアム』『ヤシノミ洗剤』のダブルネームで商品を供給していますが、これは流通とメーカーの共同目標として展開しています。ごみを出さない『Loop』のような取り組みにも参画しています。それ以外にも個別にお話をさせていただく中で、非常に高い意識を持って共感いただけることが多くなってきました」
 ――生活者の意識も変化してきました。これをどう捉えていますか。
 「1000人を対象に調査したところ、環境に配慮した商品を選びたいという方が約7割に上りました。しかし、そうした商品やサービスに出会ったことがあるという方は2割ほどしかいらっしゃいませんでした。環境に配慮した価値ある商品やサービスを、分かりやすく提案できているかどうかと考えたとき、まだまだやるべきことは多いと感じます。6月は環境月間でしたが、更に意識を高めるため8月4日を『ヤシノミ洗剤の日』と定めてキャンペーンを展開しています。夏休みには自由研究のテーマになるよう、SDGsや環境問題について情報を発信し、店頭からアクセスできるようにして、親子で考えてもらうことを促しています」
 ――今年は創業70周年を迎えた記念の年となりましたが、理念や活動は今後も変わることがないと思われます。
 「これからは、環境、サステナブルな社会に配慮した何らかの価値を持つ製品でなければ、SDGsを全世界で進めている中で認められることはなく、流通もされないと思います。こうした時代になる以前からの当社の取り組みが、広く認知されるようになったのは非常にありがたいことですが、そうした評価を今後もしていただき、常に期待していただけるよう、決して軸をぶらすことなく、現在進めている事業を誠実に行いつつ、更に新たな事業にチャレンジしていきたいと考えています」

 (詳細は「日用品化粧品新聞」9月5日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で

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