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【マスク市場】JIS規格制定から1年、違反事例に向けサイトの監視、店頭販売の確認など対策強化も

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【マスク市場】JIS規格制定から1年、違反事例に向けサイトの監視、店頭販売の確認など対策強化も

 模倣表示や偽装表示といった違反事例が続発

 コロナ禍で爆発的に拡大したマスク市場。その規模は2020年に前年の約4倍に相当する3000億円を超えた。21年は2300億円とやや落ち着きを見せ、今年も近い水準になると見られる。そうした中でマスクのJIS規格が制定され、参入各社が適合審査を受けており、適合番号を取得した商品数は医療用と一般用合わせて約1200まで拡大した。しかし、ここにきて審査への信用を損ねかねない問題が発生しているという。
 マスクのJIS適合審査を申請する窓口としての役割を果たす日本衛生材料工業連合会(日衛連)と全国マスク工業会では「審査が稼働してからの1年間で、模倣表示や偽装表示といった違反事例が発生している」といい、これが続発していることに頭を痛めている。
 一つは、JIS規格を満たしていない性能なのにもかかわらず、適合フォーマットを作成して各項目に〇をするなどして、規格適合マスクとして「性能偽装表示」し販売しているケース。例えば一般用マスクでは、安全・衛生通気性の審査が通っていないのに、規格に適合していると偽って表示した製品が出回り、消費者から「息苦しい」との声が寄せられたことから、工業会から使用を中止するようアドバイスした事例があったという。
 もう一つは、審査そのものを受けていないのに適合フォーマットを作成して表示、その際、JIS適合番号や日衛連の名称を未表示のまま販売しているケース。更に悪質なものとして、審査を受けていない他の商品にJIS適合番号を使い回していた事例もあった。

 ホームページ上でJIS適合番号の検索システムを開始

 これら違反事例に対して日衛連では「ほとんどに通知した結果、是正への対応を終了したが、別のサイトや販売者を通じて同一の商品の販売を続けている」として、いまだ解決に至っていないことを明かす。そのため、販売の現場となるサイトの監視、店頭販売の確認を強化すると共に、情報発信にも注力するという。今年7月には日衛連ホームページ上でJIS適合番号の検索システムを立ち上げる。
 規模が拡大し安定的な需要が見込まれる中、JIS規格を悪用した展開がまかり通ることは市場が信頼を失うことにつながると、関係者の多くが懸念している。いわばコンプライアンスの問題となってくるわけだが、これにはメーカーや業界団体だけでなく流通も関係する。表示を偽った商品、違反している商品を取り扱ったり、販売したりしないよう、卸売業も小売業もチェックを怠らないことが肝要と言えそうだ。

(詳細は「日用品化粧品新聞」7月4日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で
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