【いいもの発見・ハッシュ「スポッとる」】クリーニング店が15年をかけて開発、口コミで話題に

販売強化に向けアイキャッチ効果の高いパッケージを採用
頑固なシミはもちろんのこと、知らないうちに付いていたちょっとしたシミなど、衣服のシミを取るのに悩んでいる人は少なくないはず。下手に漂白剤などを使って、お気に入りの衣服を脱色させてしまった経験を持つ人も珍しくないだろう。
そういった悩みを解決する商品として、最近、ドラッグストアやバラエティーストアの店頭で見掛けるのがハッシュのシミ抜き剤「スポッとる」だ。発売15年で累計販売個数は50万個を超えるなど、まさに困った時の一品として、多くのコアなファンを獲得している。
使い方は簡単。付いたばかりのシミなら、液体を塗って拭き取るだけ。時間の経ったシミは洗濯後に塗って乾かす工程を3回繰り返し、すすぐだけ。中には、使えない生地、落とせないシミもあるが、一般的な生地やシミであればほぼ対応することができる。
パッケージも、従来の無機質でシンプルなデザインのタイプに加え、最近ではポップなキャラクターのイラストを施したタイプを発売。前者はインターネットを主戦場にしていたが、後者はリアル店舗での販売を拡充するために採用したアイキャッチ効果の高いものである。
家庭でもクリーニング店と同じシミ抜きが手軽にできる
人気の要因は、使い勝手の良さや、ブランドの世界観などもあるが、何と言っても一番はその品質。SNSの口コミでは「クリーニング店が15年かけて開発したプロ並みのシミ抜き剤」といった ワードが見られている。
この背景に目を向けると、同社の浅川ふみ社長の実家は、1968年に開業し、現在も都内で店舗を運営する歴としたクリーニング店。浅川社長は、1995年からそこで“シミ抜き担当”として従事。15年の歳月を費やして、独自のシミ抜き剤の開発に成功した。
「お客様は、クリーニング屋ならどんなシミでも落としてくれるものと思って来店されますが、決してそんな簡単なものではありません。無茶を言う方もいらっしゃいます。私も経験が浅い時は、生地を傷めてしまったり、脱色させてしまったりなどの失敗もしました」(浅川社長)。その失敗を糧に自ら薬品の配合などを試すうちにシミ抜きの世界にのめり込み、紆余曲折を経て、生地を傷めたり脱色させたりすることなく、労せずしてシミ抜きができる剤をつくり上げたという。 「薬品の配合や使い方などいくつもパターンを組み合わせるなど、試作を重ねました。長い年月を費やしましたが納得のいくものができたと思っています。もちろん、クリーニングの業務で使うことを目的に開発したものですが、ある時『これなら手軽に家庭でもシミ抜きができる。商品にして販売すればより多くの人に使ってもらえる』と思ったのが、一般用の『スポッとる』商品化のきっかけです」(同)。
売り方や販促策などの課題を流通関係と協力し商品を訴求
プロの品質をどう売り場で表現しユーザー拡大につなげるか
ラインアップの中心商材は、前述のシンプルなデザインのパッケージ10mℓと、ポップなイラストのパッケージ1mℓ3包入り。特に1mℓ3包入りは、頑固なシミを抜くために、3日間(3回)に分けて使うという方法を推奨するために取り入れた仕様だ。
これらの商品特長が、潜在需要の顕在化につながると見込む卸売業や小売業が大々的に「スポッとる」で売り場をつくる事例も見られ始めているという。
浅川社長は「品質には自信を持っていますが、一般店頭での売り方や販促策などにはまだまだ課題があります。流通関係の皆様のご協力を得ながら、より多くの人にまずは一度使ってもらいたいですね」と自社と商品の方向性や可能性を分析。どう幅広い人々の目に触れ、どうブランドの認知度を上げて購入につなげられるか。一歩ずつながらスピード感を持ってそれを追求していく考えを強く示している。
(詳細は「日用品化粧品新聞」8月15日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で