【ミンテル ~世界的調査会社が見るトレンド分析~<商機を探る⑨>】【寄稿】

消費者調査から先を読む ーアナリストが示す “次の一手”
ヘアケア市場の新潮流-”補修”から”未来の髪への投資”へ〈ロンドン本社を含め世界14ヵ国にオフィスを構える市場調査会社ミンテル発行のミンテルジャパンレポート「ヘアケア・トレンド―日本―2026年」より〉
グローバルのヘアケア市場では近年、「ヘアロンジェビティ(Hair Longevity)」という考え方が広がっている。これは髪や頭皮のトラブルに対処する従来型のケアではなく、将来を見据えて健康な状態を維持する予防型ヘアケアの発想だ。海外では頭皮診断やパーソナライズサービスが拡大するほか、スキンケア成分を応用した頭皮ケア製品も増えており、髪のエイジングを未然に防ぐことが新たな価値として提案されている。
こうしたトレンドを象徴する商品の一つが、髪の強化で知られるOLAPLEXの「N°.0.5 Scalp Longevity Treatment」だ。頭皮の早期老化を防ぎ、健康的で柔らかな髪へ導くと訴求する洗い流さないヘアトリートメントである。独自成分と特許取得済みの「Bond Building Technology」を採用し、頭皮の角質層を強化するとしている。
一方、日本では2025年に消費支出が3年ぶりの実質増加となったものの、2026年に入ると消費者心理は再び慎重さを増している。物価上昇への警戒感も根強く、ミンテルの調査では、今後6カ月間でビューティ・パーソナルケア(BPC)製品への支出を「減らす」と回答した人は25%と、「増やす」の6%を大きく上回った。必需品と嗜好品の両面を持つ美容カテゴリーでは、購入量そのものを減らすというより、より価値の高い商品やサービスへと選択を集中させる「メリハリ消費」が進んでいる。
必需のヘアカテゴリーでも節約傾向
「ヘアケア製品や美容院・理容室のサービスなど、髪や頭皮に対する支出は減らしてもいい」との質問に対し、全体では36%が同意した一方、「そう思わない」は20%にとどまった。また、ヘアケアを含む美容カテゴリーで活発に消費する18~29歳女性では43%が支出削減に前向きである一方、25%は削減に否定的だった。若年女性では、支出削減に前向きな層とそうではない層が共存しており、消費行動の違いがみられる。
ヘアケアはBPCカテゴリーの中でも比較的必需性が高いカテゴリーである。しかし今回の調査結果は、そうしたヘアカテゴリーであっても、消費者が支出の妥当性をこれまで以上に厳しく見極めていることを示している。
しかし、日本市場では欧米型の「エイジング予防」をそのまま訴求しても浸透しにくい。日本の消費者は「年相応」よりも「若々しく美しく見えること」に価値を見出す傾向がある。だからこそ、ヘアロンジェビティも単なる老化対策ではなく、「ツヤのある美しい髪を長く維持するためのケア」として再解釈することが重要になる。消費者の価値選別が進む今、診断やパーソナライズ提案、継続的なサポートを組み合わせながら、未来の髪への投資という価値をいかに分かりやすく伝えられるかが、今後のヘアケア市場における成長の鍵となりそうだ。
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