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消臭芳香剤2024 新市場創出へ

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消臭芳香剤2024 新市場創出へ
睡眠、ペット向けなど潜在需要の開拓を加速

 消臭芳香剤市場が回復の兆しを見せている。コロナ禍では在宅機会の増加で大きく需要を伸ばし、やがて落ち着きを見せながらコロナ以前の水準に戻ったものの、新たなニーズの発生とそれに対応した参入メーカーの新しい価値を持った商品投入もあり、今後の行方には期待が寄せられる。

 睡眠に特化して進化

 直近の消臭芳香剤市場を分析すると、コロナ禍のピークとなった2020年の市場規模は約936億円。外出機会の減少で車用が縮小したことを踏まえても、全体では前年比4%増となっていた。その後、21年は3%減、22年はほぼ横ばいで推移している。23年も、室内用については一部を除き伸びを欠いてきた。

 ただし、今後の成長へ向けたきっかけとなりそうな提案も少なからず登場してきたことで、先々への期待と共に、参入各社の意気込みも強まっている。

 エステーは昨年秋、睡眠時に特化した商品として「消臭力Premium Aroma For Sleep」シリーズを投入。発売1カ月ほどの間に急速にシェアを伸ばし、10月中旬にはシリーズトータルでトップに立った。睡眠に対する商品者の意識が高まってきたのは今に始まったことではないが、それまで消臭機能の高さや、芳香の種類や上質さを訴求していた市場に、新たな価値と言える「進化機能」を持ち込み、進化する香りニーズへの対応を図ったことが奏功したものだ。更に同社では、よりパーソナルな領域を狙った商品開発を進めて「ウエルネス快適空間など、新分野を切り開き、従来とは異なる顧客の開拓を目指していく」(同社)考えだ。今春は同シリーズにスティックタイプも追加してラインを拡充する。

 同種のスティックタイプでは「サワデー@Sleep」で先行していた小林製薬でも、睡眠環境を整えたいユーザーへ向けて大容量のリキッドタイプ「消臭元@Sleep」を発売する予定。好みや生活環境に応じた剤型を選択できるようラインを拡げる。更には、そのものずばり「消臭元 寝室用」を発売する。体臭や加齢臭などに特化した専門品との位置付けで、空間のみならず寝具への対処も可能という新たな切り口がどこまで支持されるが注目される。加えて、日常生活を穏やかに、前向きな気持ちで過ごしたいとのニーズに応え、気持ちをサポートする香料配合の「サワデープラス&エモーション」を投入する。

 これら「機能性芳香剤」と呼ばれる商品群の台頭は消臭芳香剤のパーソナルユース化にもつながり、これまでファミリーユースの構成比が高かった消臭芳香剤の市場に大きな上乗せをもたらす可能性が高まると予想される。

 激戦予想のペット関連品

 ペット向けの商材も一段と話題を集める。この分野には従来、様々な商品が存在しているが、家庭用品分野からの本格参入が相次ぎ、売り場での露出も拡大中だ。

 小林製薬は春の新商品として「消臭元forペット」を発売。ペットの体臭、トイレ臭に特化した成分が空間だけでなく壁に染み付いたにおいまで抑えるもので、やはり新規ユーザーを獲得していく狙いがある。

 昨年、ペット用品市場への参入、そして昨年末に花王のペット用品ブランドの事業を譲受したエステーは、そのブランド力とエステーペットの消臭技術のシナジー効果を発揮することで事業そのものを拡大していく考えだ。今春は自社ブランドから、猫の排泄臭に特化した消臭剤「エステーペット実感消臭 置き型」を発売し、先に展開中のスプレータイプと共に、この市場でのシェア拡大を狙う。

 ペットフードや排泄シートなどの分野は、スーパーなど小売店での陳列機会が拡大する傾向にあり、カテゴリーを横断した提案も期待できることで、今後の規模拡大が最も有力視できそうだ。


(詳細は「日用品化粧品新聞」1月29日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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