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【コーセー】「雪肌精 BLUE」「Prédia BLUE」立ち上げ

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【コーセー】「雪肌精 BLUE」「Prédia BLUE」立ち上げ
ナチュラル・クリーンビューティに新提案

 SDGsへの意識が高まる昨今、持続可能性を商品設計に落とし込んだブランド、アイテムへの注目度も増すなど、人、環境、社会へ配慮したサステナブルなモノづくりへの支持が強まっている。世界的な潮流として伸長している「ナチュラル・クリーンビューティ」カテゴリーも存在感が高まるカテゴリーの一つで、日本においても今後、更なる拡大が見られると予測されている。新たな提案が続々と行われており、今春はコーセーが「雪肌精 BLUE」「Prédia BLUE」を立ち上げ、5月16日に発売する。多彩な魅力を詰め込んだ新シリーズの概要や今後の展開を追った。

 自然の恵みに感謝し地球へ恵みを還元
 和漢植物由来成分を配合し高い認知度を誇るロングセラーブランド「雪肌精」、海由来の素材を中心とした独自性のある商品開発を強みとする専門店ブランド「Pr é dia」のこだわりを受け継ぐ両シリーズの「BLUE」という名称は、美しい地球にインスピレーションを受けたコーポレートカラーの「コーセーブルー」、誕生時から大切に守ってきたブランドカラーの「雪肌精ブルー」、Pré diaのコンセプトである海の色の「ブルー」にちなみ、“青く美しい地球を未来につなげていく”という思いを込めたものだという。
 共通クリーンポリシーとして、地球で生きる一員として自然の恵みに感謝し、地球へ恵みを還元する美しい循環を目指した「BLUE:美しい地球を未来へ繋ぐ私たちの信念」を掲げており、人も地球も大切にし、後世へ継承していくという考えの下、独自の成分選択基準に基づいた商品づくりを行う。その他、アップサイクル素材の活用、環境負荷の低い容器やパッケージの採用、環境保全活動への支援、容器回収などに取り組み、持続可能な地球環境を未来へつなげることに貢献する。
 更に、社会不安、ストレス、疲れといった要因から、体だけでなく心のセルフケアも大切にしたいという人が増えていることを受け、肌や心の健やかさをサポートするホリスティックビューティという新たな価値を提案。肌や心の健やかさを叶え、自分らしい美しさに出会うサポートをしていく構えだ。
 戦略ブランド事業部クリーンブランド事業室販売企画一課の木寺佑妃課長は「世界的にSDGsの考えが普及し、大きく伸長が見込まれるクリーンビューティ市場に向けたアプローチが必要だと考えました。ナチュラル成分、自然由来成分を用いて、長く愛されてきた自然派ブランドの雪肌精、Prédiaをブラッシュアップし、両ブランドの魅力を掛け合わせて様々なシナジー創出につなげていきます」と強調する。
 心にも寄り添うラインアップ
 雪肌精 BLUEのラインアップは、透明感のある健康的な肌に導くことを目指した15品目17品種。雪肌精の原点である「和漢発想」をもとに、美しさのめぐりに着目し一人ひとりの肌質や体質にあったアプローチで肌・心・体のバランスを整えることをサポートする。
精油の香りによるメディテーション、独自のカウンセリングを通じて、肌・心・体に寄り添い、毎日がしなやかに美しくめぐるホリスティックなビューティ体験を提供していく。
 中心アイテムの2層式化粧液「ディープハイドレイティング エッセンス リキッド」には、高麗人参エキスなどを配合。うるおいを与えるローション層と、滑らかに整えるエマルジョン層が瞬時に融合し、肌全体をうるおいで満たし、明るく澄んだ印象へ導くものとしており「時短やマルチに使えるといったことが注目されていますが、あえて振って使うことでその体験を楽しみ、こだわりながら自分をいたわってほしいという思いを込めました。スキンケアはしなくてはいけないものではなく、自分のために行うもの。ひと手間を加えることで、自分を愛してあげるという情緒的な価値も持たせたいと考えています」(戦略ブランド事業部クリーンブランド事業室商品企画課プロダクトプランナー・福田開道氏)というこだわりの一品だ。
 また象徴的なアイテムが、植物の恵みを凝縮した美容オイルである。滑らかなテクスチャーで上質なハリとうるおいのある肌に導く「バウンス バランシング オイル」、リッチでコクのあるテクスチャーで輝くようなツヤ・ハリのある肌に導く「ライブリー バランシング オイル」、みずみずしいテクスチャーで上質な明るさ、ツヤ、しなやかさのある肌に導く「ハイドロ バランシング オイル」という3種をそろえる。東洋医学の考えからインスピレーションを得て、雪肌精 BLUE独自の「気彩水」のタイプ別診断を行うカウンセリングも用意し、自分に合ったアイテムを選ぶ楽しさも盛り込んだ。オリジナルのメソッドも用意し、体質別のハンドマッサージ提案も進めていく。メインアイテムをフックにして新規ユーザー獲得につなげる考えで、今後はベースメイクなどを拡充していく構想もあるという。
 容器デザインは日本瓦からインスパイアし、瓦が重なり、織り成す日本の美しい伝統的な風景をモダンでスタイリッシュに表現した。加えて容器キャップには雪肌精ブランドで使用しているハトムギエキスを製造する過程で発生するハトムギのもみ殻を練り込んでおり、通常は廃棄される素材をアップサイクルすることで、ブランドの思いを体現している。
 また直営店では什器や柱に、沖縄の海から採取された風化造礁サンゴを主原材料とした左官材や自然の土からつくられる天然無機顔料、木質ボードといったサステナブルな素材を活用。サンゴの植え付けを行い、青く美しい地球を守るプロジェクト「雪肌精 SAVE the BLUE」を展開するブランドらしさを盛り込みつつ、自然に包まれるような快適な空間を演出する。「雪肌精は国内ではマスブランドとしての印象が強いものの、海外ではプレステージブランドとして展開しており、直営店、専門店といったプレステージ領域でのみ展開する新シリーズを投入することで、ブランドの魅力を増幅し、価値を更に引き上げたいですね」(木寺課長)。
 ブランド内で原料をアップサイクル
 心に寄り添い、海の持つ力で背中を押したいなどの情緒的価値を表現した「Refresh w/SEA (リフレッシュウィズシー)」をコンセプトに掲げるPrédia BLUEは、海を見て、聴いて、触って、香りを通して感じる「前向きな気持ち」と、自分の中に共存する様々な自己の「オン・オフの切り替え」に焦点を当て、ヘアケア、クレンジング、洗顔といった単品から取り入れやすいアイテム5品目7品種を用意した。海泥、海洋深層水、海藻など、厳選した海の天然由来素材を配合し、効果感だけでなく、テクスチャーや色、香りからも「海」を感じられることにこだわっている。メインアイテムの「リペア ヘッドクレンズ クレイ」は、泥パックのような濃密なテクスチャーでありながら、爽快感のある使い心地で、指通りのよい、しっとりとしたツヤのある髪へ導く一品とした。
 各品のデザインは、海の爽やかさと落ち着いた印象を表現するように、温かみのあるホワイトを基調に淡いブルーのロゴをあしらった。前面に配置したPrédia BLUEのロゴは丸みを帯びた字体を採用しつつ3段組みで構成し「SNSなどでも印象に残りやすいよう、有機的で柔らかい印象を持たせたアイコニックなものとしました」(福田氏)。
 なおチューブ容器は、使用済み容器を選別・粉砕・特殊洗浄し、元の樹脂に近い機能と品質を再現した環境負荷の低いメカニカルリサイクルポリエチレンを自社で初採用。こちらもシリーズの思いを商品設計に落とし込んだ事例と言えるだろう。
 新シリーズの販路は、直営店、雪肌精公式オンラインショップ、Maison KOSÉ(店舗・EC)に加え、理念に共感する化粧品専門店での展開も徐々に拡大していく考えだ。雪肌精とPrédiaのそれぞれの資産を融合させながら「BLUE」シリーズとして同じ売り場で展開し、自身の好みに合った様々な形でナチュラル・クリーンビューティを取り入れてもらうきっかけを創出して、シナジー効果を図っていく。専門店においては、政策に共感する170店舗ほどでデビュー。今後、300店舗ほどへの拡大を見込んでいる。土を建材に用いる「版築」という工法をモチーフにデザインした什器、もみがらや木粉を練りこんだクロスなども活用し、シリーズの世界観を存分に表現する。
 福田氏は「両シリーズは同じカウンターで展開していきますが、クリーンビューティと一口にいっても多種多様な嗜好があり、例えば、しっかり本質に向き合いたい人にはステップ使いできる雪肌精 BLUEを、もう少しライトに使いたい人には単品から使えるPrédia BLUEをといったように商品面でのすみ分けも進めます。間口を広くして、ライトユーザーから本格的なものを求める人まで、クリーンナチュラルビューティに関心のある人に商品を届けていきたいです」と意欲を見せる。
 キービジュアル、SNSデザインなどは、ナチュラル・クリーンに特化したデザイン企業へ依頼をするなど、既存ブランドとは一線を画した発信で、新シリーズの魅力を余すことなく伝えていく。一つで二役を果たすエコなサンプルバッグ兼リーフレットを用意するなど、販促面でもシリーズの思いを盛り込んでいる。
 ナチュラル・クリーンビューティへの関心が高い海外諸国での展開にも力を入れていきたい考えで、すでにシンガポール、マレーシア、インドネシア、韓国(免税)ではデビュー済み。中国、フランス、タイ、台湾など、その他の国や地域でも順次展開を開始していく予定。新たな価値提供で、更なる市場活性化につながっていくことが期待される。

(詳細は「日用品化粧品新聞」4月14日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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