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【オーラルケア市場はいま】健康志向上昇でプラス推移続く

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【オーラルケア市場はいま】健康志向上昇でプラス推移続く
若年層の関心高めるべく需要喚起

 健康増進と健康寿命の延伸、医療費の削減を目的に「国民皆歯科健診」の導入に向けた国の方針が公表されて2年近くが経過した。2025年に導入が予定されており、これに伴いオーラルケア市場では、今後の成長、拡大への期待が膨らんでいる。コロナ禍前から続く健康志向の高まりを背景に、プラスの推移を続けてきた同市場。直近の動向と今後の方向性を占ってみる。

 大手メーカーの試算によると、オーラルケア市場全体の販売規模は、2023年の金額ベースで約3500億円、前年比で3%近い成長を見せた。コロナ禍で停滞していたカテゴリーもあったが、それ以前の堅調な伸びに戻りつつある。一方で、数量ベースでは横ばい。高付加価値化による商品のランクアップが進んだことに加え、相次ぐ値上げの影響もあって平均単価が上昇、店頭売価が上がったことで買い控えが発生したことなどが背景にあると考えられる。

 【ハミガキ】

 ハミガキの市場規模は、23年で1410億円、前年比4%増と推計されている。コロナ禍にあっても、口腔内の健康が全身の健康につながるという啓発、これを受けた生活者の意識がより向上したことで、人流が停滞する環境下でも販売実績を伸ばしてきた。

 市場全体と同様、個数では横ばい傾向にあるが、平均単価は22年の387円から23年393円とおよそ2%上昇。24年には400円を超えるものと期待がかかる。価格帯別では、全体の半分を占める499円以下の汎用価格帯が構成比を1%下げ、500~999円の中価格帯と1000円以上の高価格帯がいずれも1%ずつ高めているのが特徴的。

 メーカー側では「オーラルケアの重要性に対する認識がじわじわ高まっており、そこに投入された高付加価値商品が支持されている。これまでの地道な啓発活動も相まって、複合的な効果が出ているのでは」と分析。更に今後の成長性にも期待を寄せる。

 【ハブラシ】

 市場規模は670億円で前年比1%強の伸び率。コロナ禍のあおりを受けて、それまでの上昇機運がマイナスに転じ20年に5%減となったものの、徐々に回復の兆しが見え、間もなくコロナ前の水準まで回復する見通しだ。

 商品の高付加価値化は続いているものの、個数は依然としてマイナス基調にあり、平均単価の上昇がカテゴリー全体の伸びを支えている形。メーカー別では、大手だけでなく中堅からも様々な提案が出ているため、シェアも分散する傾向にあり、一部を除いて健全な高付加価値競争が続くことで、更に回復から成長への曲線を描きそうだ。

 【洗口液・周辺商品】

 ハミガキ、ハブラシとは異なり、減少に転じてしまった洗口液。市場規模は500億円を割り込み、前年比3%ほどマイナスとなった。値上げも進んで平均単価は上がりつつあるものの、生活者の生活防衛意識が色濃く出て購入個数の減少につながった。購入者の数そのものも減っていて、これが全世代にまたがっている。また、市場の伸びにつながっていたコロナ禍が明けて、殺菌やその他効果・効能に対する意識が低下しているとの指摘もある。

 歯間ブラシ、フロス、ワンタフトブラシなど周辺商品は前年比7%増の350億円。昨今の傾向でもある右肩上がりの伸びが続く。生活防衛意識が高まりながらも、健康志向に基づくオーラルケアへの意識は高まる一方で、より丁寧なケアを望む層が増えていることを表している。

 需要喚起図る施策が目立つ

 供給側の狙いで共通しているのは、特に若年層への働き掛けでオーラルケアそのものに関心を持ってもらうこと。裏を返せば、この世代の意識の低さが課題の一つとなっている。メーカー、流通からはあの手この手の提案が活発に打ち出され、需要喚起を図る動きが目立っている。国民皆歯科健診の導入が決まれば、この世代の「何をどう使うべきか」とのニーズが必然的に高まると言えそうだ。


(詳細は「日用品化粧品新聞」5月27日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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