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【家庭紙市場】ソフトパック、倍巻きロールの勢い増す

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【家庭紙市場】ソフトパック、倍巻きロールの勢い増す
多様化するニーズに価値適合

  ティシュ、トイレットロールなどの家庭紙市場は、経済産業省の昨年の統計によると、販売数量は前年比でティシュが3・6%減、トイレットロールが1・6%減と縮小しているが、金額ではティシュが11・5%増、トイレットロールが11・1%増と価格修正の効果がはっきりと表れている。上昇した店頭価格は今年も維持されている状況にある中、ソフトパックティシュや、倍巻きロールが完全に市民権を得るなど、新たな潮流が見られている。

 家庭紙市場は、ソフトパックや倍巻きロールの台頭、価格修正による単価上昇、物流効率化に向けたパレット化の導入など、業界全体の変化が強く見られており、まさに転換期を迎えている。物流の2024年問題、あるいはそれ以前から独特の習慣として根付く、ドライバーの手積み手降ろしという過酷な物流環境が、社会の変化と共に看過できなくなり、積載効率が落ちるというデメリットを抱えながらパレット化を推進することは、業界全体の課題と言える。

◆確実に進む価格修正による市場価格上昇

 まず、市場価格の動向を見ると、東京家庭紙同業会が発表している安値~高値の価格調査(税込)の20228月と248月を比べると、ティシュ(180200組)が349437円から437470円に上昇。トイレットロール再生紙(556012ロール)が283327円から349382円、パルプ(6012ロール)が470514円から547580円と確実に上がっている。ただ、これまでが適正利益を取るのに程遠い価格展開だったこともあり、持続可能な市場構築には更なる値上げも必要な状況だ。

◆倍巻きは市場構成比4割、汎用ソフトパックは前年比3割増

 物流効率化につながるという意味でも、メーカー側が積極的に販売を進めているのが倍巻きロール。コンパクトなため、物流面だけでなく、小売業もバックヤードの省スペース化や品出しの効率化、消費者も保管スペースや取り替え回数の削減など受ける便益も多く、それらが理解されて、市場シェアも高まりを見せている。

 ある統計では、倍巻きロールの昨年の販売金額は前年比13%増。金額構成比では40%を超えるにまで上昇している。前述のようなメリットに加え、最近では、需要が高まる防災用品としての位置付けも強まるなど追い風要因は多い。今後は、倍巻きが通常品のシェアを超えることも考えられる。そうなると「何の何倍なのか」ということが明確でなくなるといった問題から、業界内では表記の見直しに目を向ける動きも出てきている。

 ソフトパックも、物流効率化につながる点は倍巻き同様だが、市民権を得た背景は倍巻きとは多少異なる。輸入品も多い汎用ソフトパックの昨年の販売金額の前年比は311%増と大きく伸長。ただ、汎用に限っていえば金額構成比が230%とそこまで高くないように「低価格」が、消費者に支持され伸長している側面もある。業界内では、今後も汎用ソフトパックが伸び続けると、市場単価の縮小を招くことを懸念する声もある。更には、消費者からは「紙製のボックスと違って小さく捨てられるので廃棄が楽」と、ピロー包装を支持する声がある一方、製配の間では、リサイクルできる紙と違い、プラスチックの使用量増加につながるなど環境面への配慮から、積極的な展開への躊躇も一部見られているようだ。

 しかし、品質や利便性により優れた高単価の商品投入など、付加価値化への余地はまだまだある。何より使い勝手や使用シーンなど多様化する消費者ニーズに合っているからこその市場拡大であることは間違いなく、この勢いを止めることなく、価値と単価を上げることが、転換期でもある市場の発展に必要不可欠と言えそうだ。

(詳細は「日用品化粧品新聞」9月30日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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