【オーラルケア市場】進む高付加価値化、健康志向の高まりで金額、数量共に増加傾向

大手メーカーの推計によると、オーラルケア市場における市場規模の伸長率は、2023年で前年比3%増、今年1~9月は4%増と、コロナ禍を過ぎて以降、堅調な推移を見せている。従前からの健康意識、清潔意識の高まり、ひいてはオーラルケアに対する関心の高まりが依然として続いていることを表している。主要なカテゴリーの動向を追った。
◇ハミガキ
市場で最大カテゴリーとなるハミガキは、今年9月までで前年比5%ほど実績を伸ばした。各ブランドの値上げによる影響もあったとはいえ、金額、数量共に増加しているのが特徴的だ。意識の高まりが需要増に結びついており「特に高付加価値品、販売価格で言えば500円以上の商品が高い伸び率を示しており、カテゴリー全体をリードしている」と、メーカー担当者は分析すると共に「機能と価格が高いものが売れるということもあるが、より効果・効能が期待できるものへのニーズが高まっており、かつ、自分に合うものを積極的に探して求めるという購買行動も見られる」と語る。
一方で、こうした需要を支える中心のシニア世代には、大きな変化は見られない。参入各社が共通の課題として挙げる若年層の意識と購買の喚起という点では、まだ道半ばで、国民皆歯科健診の導入へ向けても、今後様々な提案が出てきそうだ。
◇ハブラシ
コロナ禍には外出機会の減少で、また値上げにより一時的には販売数を落としたハブラシだが、徐々に回復を見せ、今年1~9月では5%近い伸びで推移している。
機能性が高く比較的高単価の商品の中には2桁伸長するものも少なくないが、これらに人気が集中する反面、廉価品の構成比も下がっていない。背景には、生活防衛意識が強まっていることで低価格品の品ぞろえを広げたい販売店の思惑などもあって、二極化が進みつつあるのが現状のようだ。
合わせて、ハミガキと同様に若年層への提案が増えてきている。若いうちから口腔内を健康に保つこと、あるいは美容意識の高さを意識した美白の訴求など、アプローチは様々で、更に市場がジャンプアップする可能性を秘めている。
◇洗口液/デンタル用品
昨年は停滞気味だった洗口液は、今年に入って約3%の伸長で推移しており復調傾向にある。機能性の高い商品だけでなく、香味、使用方法、環境対応など、訴求ポイントがそれぞれ異なるバラエティ豊かなラインアップが店頭を飾るようになったことに加え、大容量品の増加もあって、更に活性化が進みそうな気配だ。
市場規模はまだ小さいものの、伸び率の上で最も高いのはデンタル用品。とは言いつつも、メーカーの試算によると歯間ブラシは100億円規模が目前で、デンタルフロスも70億円を突破し、更に加速度を増して成長している。20億円規模の舌クリーナー、10億円を超えた辺りのワンタフトブラシはいずれも2桁伸長中で、参入各社では売り場での露出拡大、販促施策の強化を進めていく考えだ。
(詳細は「日用品化粧品新聞」10月28日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)