特集/スキンケア——高付加価値品が市場リード
洗顔、パックなどインバウンド商材も好調
新たな知見から美白商材続々
高付加価値品を中心に、活況ぶりが目立つスキンケア市場。今春も各社からは保湿、美白、エイジングケアなどの切り口で様々なアイテムが登場し、ユーザーの関心を集めている。一時は落ち着きを見せつつあったインバウンド需要も、ここに来て再び盛り上がりを見せており、更なる市場拡大に貢献しているようだ。
17年は個数5・0%増、金額7・8%増
経済産業省の出荷統計によると、2017年1〜12月の皮膚用化粧品は個数が11億5247万2590個で前年同期比5・0%増、金額が7745億9829万9000円で7・8%増と、個数、金額とも順調な動きを見せた。
18年に入ってからは、更に成長が加速しているようで、2月までの累計では個数16・3%増、金額15・5%増で推移。特に、洗顔クリーム・フォームは個数24・3%増、金額21・6%増、フェースマスクを含むパックは個数65・5%増、金額40・4%増と、インバウンド需要の高いアイテムが大きく伸びている。化粧水、乳液の基礎アイテムも個数、金額とも2桁増。好調な様子を見せているのが現状だ。
市場拡大をリードしているのは、やはり高付加価値品やインバウンド需要だろう。例えば、好調ぶりが目立つコーセーの18年3月期を見ると、「コスメデコルテ」などで構成するハイプレステージブランドが2桁を大きく上回って伸び、成長を牽引。インバウンドの売り上げも33・8%増えた194億円となり、国内売り上げの1割ほどの規模にまで大きくなっている。また資生堂の18年1〜3月期も、インバウンド売り上げが40%超成長するなど着実に需要を取り込んだこと、グローバルを中心にプレステージブランドが18%増と成長したことなどを要因に、大幅な増収益となった。
国内外で引き合いが強い美白アイテム
カテゴリー別の状況では今春、各社から新たな商品が続々と登場してきた「美白」に注目が集まっている。気温が上がる時期に向けて用いるというのはもちろん、年間を通じて一定の需要も見られる。美容医療が身近になり、レーザーでシミなどを取る人も多くなっている中、日々のお手入れの重要性も増してきているようだ。
各社では研究により得られた新たな知見を元に、シミができる要因を分析。シミの元となるメラノサイトの実態が詳細な部分まで明らかになってきており、様々なアプローチを試みて女性の悩みに対応している。グローバルに目を向けても、アジアを中心に美白への憧れは非常に強いものがある。実際に「今年は市場が落ち着いた感じもあるが、昨年は美白製品が非常に売れた」と指摘する関係者もおり、国内外でまだまだ成長が期待できるカテゴリーと言えそうだ。
また、17年の市場を語る上で外せないのは“シワ改善”の効果・効能を訴求した商品。ポーラ、資生堂が相次いで市場に投入し、大きなヒットを見せた。今年も新たなアイテムの登場が予定されており、更なる市場拡大をもたらすものとして、引き続き関係者の期待は大きい。
使ってすぐ綺麗に見せるアイテムが人気
SNSの普及により、誰もが手軽に情報発信、情報収集できるようになったことが、スキンケアにも変化をもたらしていることもトピックスの一つ。あるメーカー担当者は「写真を撮る機会の増加などから、“すっぴん”を綺麗に見せたいなどの需要も高まったことで、すぐに肌を綺麗に演出できるスキンケア製品などが登場し、メイクとの間のボーダーが低くなっているように感じる」と市場の変化を指摘する。
例えばクリームなのに光を演出するパウダーが入っていたり、フォーカス効果によって肌を明るく演出したりと、スキンケアにもかかわらずメイク品のようにすぐに美しくなれるといった商品が多く登場している。その逆に、肌をカバーするBBクリームに美容液効果、パウダーファンデーションにくすみケア効果、リップアイテムに保湿効果など、メイクにスキンケア効果を付加したアイテムも今や珍しくない。
もちろん、プロモーション方法にも変化が見られる。従来は、テレビCM、雑誌などを中心に行っていたものが、徐々にデジタルコンテンツへとシフト。関係者は「KOLなどを積極的に活用するメーカーも増えている印象で、メーカーからの情報発信のやり方もがらっと変わってきているように感じる」と分析する。今後も消費者の注目を集める新たな施策が続々と登場し、市場活性化に寄与していきそうだ。