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【有力各社決算レビュー】「収益力」強化へ動く各社

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【有力各社決算レビュー】「収益力」強化へ動く各社
価格改定の効果も明確に表れる

 日用品・化粧品業界で有力企業各社の決算がまとまった。現在も一部で続く価格改定による収益を担保しようという動きが奏功し、それぞれに個別の事情をはらみながらも、期初の見込みを上回る業績を示す企業が目立った。共通しているのは「収益力」を高めていくための施策を進めている点。為替の影響が続く海外事業も含め、より強固な基盤をつくろうという姿勢が見える。

 構造改革による利益回復を強力に進めている花王は、売上高を前年比6・3%増と伸ばした上で、営業利益は約2・4倍と、前期からの回復を果たした。家庭品では、紙おむつなどを除き、ほぼ全カテゴリーで伸長、あるいは回復を示し、新商品も多くが業績に寄与した。特にヘルス&ビューティケア事業は、ヘアケア分野で主力ブランドのテコ入れ、新ブランド投入と積極的な改革を進め、UVケア分野でもヒット商品を飛ばし、更に展開を広げるなど、高付加価値商品を中心とする積極的な動きが目立った。
 ライオンも、主力カテゴリーであるオーラルケア事業の伸びが一定の成果を示し、売上高2・4%増、営業利益38・4%増と、4年振りとなる増収増益で着地、より高い目標を掲げる次の中期経営計画へ向けて弾みをつけた。合わせて海外事業もタイ、マレーシア、中国、韓国と各地で伸長。日本国内でも進む商品構成の変化を推進するなどして、更なる成長を目論む。新中計では「収益力の強靭化」にこだわり様々な取り組みを進めていく。 売上高5・0%増、コア営業利益8・2%増で過去最高額を記録したユニ・チャーム。日本国内での売上高は5・6%増と堅調に推移し、カテゴリー別でも販売数量増、価格改定、各種販促が奏功した。一方、売上比率の高い海外での売上高は1・1%増にとどまり、為替の影響などを除く実質増減率は、中国5%減、インドネシア4%減、タイ15%減、ベトナム7%減。それでも、各地で高付加価値商品を投入することでより高い収益基盤を構築し、連結のコア営業利益率を引き上げている。今後も、それぞれの地域で需要が高まるカテゴリー、商品に注力し、積極的に経営資源を投下することで更なる成長を狙う。
 主力の虫ケア用品などでシェアを伸ばすアース製薬は、売上高6・9%増、営業利益0・9%増。国内では虫ケア用品の他、口腔衛生用品、猛暑による保冷材需要の拡大などでその他日用品も堅調に伸びた。虫ケア用品の価格改定では計画比でプラス13億円以上の効果を生んだ。ペット・その他部門、総合衛生環境部門は大幅な伸長。海外売上高は更に高い伸びで25%近い増加。中国こそ前年の反動で減収となったものの、主要国のタイ、ベトナム、マレーシアなど軒並み拡大した。25年度は、公表済みの持ち株会社への移行、バスクリンとの経営統合などの費用計上を見込むが、売上高と営業利益は増加させる見通し。
 資生堂の売上高は1・8%増となったものの、中国など海外での実質的な減収、様々な費用の増加で利益は大きく減少し、コア営業利益は100億円を超える赤字となった。日本国内の売上高は9・2%増と2桁に迫る伸長率。一方でトラベルリテール事業の売上高は、中国の景気低迷、中国の観光客減少などの影響から実質23・8%減となった。展開する地域や商品などによって業績の良し悪しが分かれたものの、25年12月期には注力ブランドの選択と集中などで黒字回復を目指す見通しを示す。
 中国市場で減収を強いられたコーセーだが、日本の主要ブランドや欧米中心に展開するブランドが好調に推移し、売上高7・4%増、営業利益8・6%増だった。中国での影響が大きかったアジアでは23・0%減となったが、引き続き中長期ビジョンの基本戦略でもある構造改革を進め、特に日本を中心に稼ぐ力、利益構造への改革を優先していく考え。

(詳細は「日用品化粧品新聞」3月3日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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