【花王】化粧品事業戦略説明会、グローバルにおいて「シャープ・トップ」事業体に

花王は9月19日、東京都中央区の本社でグループの化粧品事業の成長戦略説明会を実施、カネボウ化粧品社長も務める、内山智子執行役員グローバルコンシューマーケア部門化粧品事業部門長が近況や今後の方針を解説した。
内山部門長は、売上高4000億円、営業利益率15%を将来のありたい姿として描き、そこに至るまでの中期ビジョンと位置付け売上高3000億円、営業利益率7%という2027年の目標を設定した自社の「K27戦略ビジョン」に触れつつ、グループの売り上げの約2割を占める化粧品事業では、時代を超えて価値あるブランドづくりを進めてきたと強調した。現在は「確かなエビデンスと、五感に訴えかける感性美を融合。個性が際立つブランド群を創造し、グローバルにおいて『シャープ・トップ』事業体となる」と掲げ、地域において最も選ばれる存在になることを目指していると明示。その推進力として「長い歴史が育む技術とブランド」「肌・ヒトを対象とする本質研究」「ケミカル/プロセス研究に基づく幅広い資産、知見」を挙げた。
業績は、2019年まで中国からのインバウンドが強力な消費力をけん引し、コロナ禍を経てインバウンドの減少、ALPS処理水の影響などを受けて売り上げ、利益ともに厳しい環境にあったものの、中国依存から脱却して立て直しを図ったことで回復傾向にあり、25年度は前年を上回る着地を見込んでいるとした。
事業成長に向けては、拡大のための「成長する力」、体質改善を図り「稼ぐ力+スリム化」を追求しているとし「SENSAI」「MOLTON BROWN」「KANEBO」「SOFINA」「Curel」「KATE」の6ブランドのグローバル展開の拡大を進めているとアピールした。意識しているのは、ブランド単位ではなく全体での運営を進めることで、それぞれのエリアで着実に成功パターンをつかみ、次の挑戦への投資効率をスピードアップさせていくことを重視する。
セラミド研究に基づいた独自技術で唯一無二の商品力を誇り、日本ナンバーワンダーマケアブランドとしての地位を確立したCurelは世界12の市場で展開し、乾燥性敏感肌と感じる人の割合が多い欧州を重点地域として開拓していく「日本発型」のブランドと位置付ける。欧州からアジアへ波及させる「欧州発型」は、海外売り上げ比率90%を誇るSENSAIと欧州生まれのMOLTON BROWN。成長性の高いアジアを一つの市場として捉え、欧州で育てたブランド価値を発信していく。特にSENSAIでは中国の富裕層へのアプローチを強めており、日本においても空港免税店やECでの展開などを進め、顧客の動きを網羅する施策が成功しているという。日本で確立した価値を、アジア各国・地域の特性に合わせて展開する「アジア型」はKANEBOとKATE、SOFINAで、東南アジアで最も高い経済成長を背景に、化粧品購入層の厚いタイで成功パターンをつくり、アジア市場全体での成長につなげる。
(詳細は「日用品化粧品新聞」9月29日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)