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【家庭紙市場】シェア拡大続くソフトパックティシュ

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【家庭紙市場】シェア拡大続くソフトパックティシュ
価格と需要のバランス注視

 ティシュ、トイレットロールの今年1~7月の市場規模は、経済産業省の統計によると、前年比でティシュは数量が4%減、金額は3%減、トイレットペーパーは数量が1%増、金額3%増で推移している。ここ数年、各社が毎年行う価格改定によって金額が大きく伸びてきたが、今年は特にティシュの数量、金額が振るわずにいる。そんな中、現在注視されているのがソフトパックティシュの動向。今や市場の3割を超えるに至っており、中でも安価な海外品の拡大が顕著だ。国内メーカーの値上げが進む一方、安価品のシェアは今後の市場発展を占う上で重要な要素となってくる。

 家庭紙カテゴリーの環境は、近年続く変化が更に色濃くなって表れていると言える。その代表的な事例が、ソフトパックの市場シェア拡大。ここ数年、持ち運びに便利、保管場所を取らない、また、低価格といった面が消費者に支持され数字を伸ばしてきたが、市場シェアの3割と言えば、完全に“市民権”を得たという事実がうかがえる。今年1~7月の数字でも、金額で前年比9%増と高い成長率が続いており、今後もシェアをますます伸ばすことは間違いないだろう。
 国内品では「エリエール」(大王製紙)、「エルモア」(カミ商事)などのファーストブランドやセカンドブランド、また、各社のローションティシュなどの付加価値品が展開されているが、伸び率が高いのは輸入物の安価な商材。高まる生活防衛意識を背景に、より安いものを選ぶ消費動向が鮮明になっている証しとも言え、それが前述の1~7月の金額前年比3%減という数字に反映されていることも考えられる。しかし、小売業もそんな消費者ニーズを無視するわけにもいかず、品ぞろえの一つとして拡充する傾向にある。
 また、安価なゾーンの枠には収まらない、ソフトパックのパイオニアでもある輸入品の「ハロー」(ユニバーサル・ペーパー)が、今年リブランディングし、店頭での本格展開をこの秋から開始する。ティシュの戦略としては珍しい、ブランドキャラクターをメインビジュアルに打ち出すというアプローチを、市場での存在感も強い「ハロー」がとることで、店頭の雰囲気が大きく変わる可能性もある。明るい売り場を通して、ソフトパックに関心を持ち、初めて使った人がその利便性に気付く。そういった流れから、ボックスからシフトする人が増えることも考えられるだろう。
 消費者ニーズの変化をコントロールすることは難しい
 ただ、安価な商品が売れることは、市場単価の下落につながる。そういった危機感は業界内でも多くのメーカー、卸売業が持っているが、製配の立場で消費者ニーズの変化をコントロールすることは難しい。更に、ボックスよりも嵩が張らないソフトパックは配送効率が良いという長所を持つ。家庭紙業界では特に切実な物流問題の改善にもつながることから、取扱量が増えることで恩恵を受ける場合もある。
 「ソフトパックは、手頃な価格も支持を受ける要因の一つだが、様々なベネフィットが消費者に認められたということだろう。家庭紙に新たな価値を生み出した、という点では評価されるべき。大容量やハーフサイズのものなど、ラインアップもバラエティーに富んでいる。物流面でもコンパクトなサイズはケース単価の上昇につながる。ただ、世帯浸透率もほぼ100%で、使用量の拡大が見込めないティシュ市場において、単価の下落は、これまで各社が進めてきた価格改定の逆を行ってしまう。ソフトパックのシェア増は、痛し痒しの面がある」(卸売業関係者)といった声は市場環境を的確に表したものと言える。
 今後、脱・安価なソフトパックがどこまでシェアを伸ばしてくるか。ここが市場の発展を左右する重要な鍵になるかもしれない。

(詳細は「日用品化粧品新聞」9月29日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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