【オーラルケア市場のいま】健康志向の継続から安定的な成長見せる

物価高に伴う生活防衛意識の高まりが続く中でも、健康志向の継続からオーラルケア市場は安定的な成長を見せている。口腔内の健康と身体全体の健康との深い関連性が明らかになっていくに連れ、関連商品に対する需要は高まる一方。各カテゴリーで販売単価が上昇する反面、数量面の伸び悩みを指摘する声もあり、今後はこの課題に焦点を当てた施策も求められそうだ。 物価高に伴う生活防衛意識の高まりが続く中でも、健康志向の継続からオーラルケア市場は安定的な成長を見せている。口腔内の健康と身体全体の健康との深い関連性が明らかになっていくに連れ、関連商品に対する需要は高まる一方。各カテゴリーで販売単価が上昇する反面、数量面の伸び悩みを指摘する声もあり、今後はこの課題に焦点を当てた施策も求められそうだ。
一段と進行する高付加価値化が 【ハミガキ】
2022年からの直近3年間で10%ほど成長したが、25年は1~3月の時点で同等の伸び、4月以降は前年並みで推移していると見られる。特に1000円を超える高価格品は注目度の高いアイテムが増え、平均単価を一段と伸ばしていきそうな気配だ。 中価格帯も、汎用品からのランクアップが奏功して前年以上の実績を示している。主力ブランドの動きは、より効果の高いもの、安全性や使い心地を訴求するもの、あるいはこれまでになかった新しい提案、パーソナルユース化の訴求などが相次ぎ、従来と変わらず堅調な推移を見せる。 これに加えて昨今では、比較的高価格の美白系ハミガキの動きが店頭、EC共に目立つ。歯を白くするという化粧品的な感覚で購入されるケースも多く、実際に大半のベストコスメ賞では美白ケア、または口臭ケアのアイテムが名を連ねる。コロナ禍の収束以降、人と人の直接的なコミュニケーションの機会が戻ったこともあり、相手にどう見られるかを気にする場面が増えていることも、これらの動きを後押ししている。 また、少子高齢化に伴い、効果効能を追求するニーズも健在。市場の伸びを支える柱となっている。
道具としての価値をより高める 【ハブラシ】
それまでの販売減少の流れから回復を遂げ、市場規模は前年比4%増で推移した2024年だったが、今年に入って平均単価の伸びがハミガキ並みに高まっている反面、数量面での伸びを欠いているのが現状。ここまでは前年を上回る実績となっているが、年末の需要期に向けて予断を許さない状況だ。 メーカー関係者は「ハミガキと異なり、ハブラシは歯を磨くための道具。輸入品を含め安価な商品も数多く存在するため、選択の幅が広くなり、低価格品を求める層が一定数は存在する」と語り、だからこそ付加価値化を追求していくとの考えを明らかにする。 使用率も100%に迫るカテゴリーゆえ、ニーズや目的に合わせて多種多様なアイテムが店頭に並ぶのは当然のこと。あとはどんな優位性をもって生活者に選ばれるかということになるが、とりわけオーラルケアへの関与度が低いとされている若年層の開拓は、大きな課題の一つ。いわゆるZ世代をターゲットにしたマーケティングも散見されるようになってきた。その成否も、市場の今後を大きく左右しそうだ。
使用率拡大へ拡がる提案 【洗口液・ケア用品】
洗口液は依然として使用者数の伸び悩みが続き、一人当たりの使用量が増えることで市場規模を少しずつ伸ばしている。商品面でも依然として大容量タイプの比率が高い状況は変わらない。それでも近年は、効能効果の高さを訴求するアイテム、若年層向けのファッショナブルでライフスタイルに適したアイテムなども登場して話題を広げるなど、ユーザーを開拓する可能性が高まりつつある。 高い伸長率が続く口腔ケア用品は、歯間ブラシ、デンタルフロス、舌クリーナー、ポイントブラシなどを中心に勢いが続く。提案次第では今後も使用率を伸ばしていけるポテンシャルは非常に高いとされ、また市場全体の活性化と規模アップに大きく貢献していくものと期待がかかる。
(詳細は「日用品化粧品新聞」11月3日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)


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