【園芸用品】虫ケア市場主要3社が付加価値品で園芸市場の活性化目指す
先日行われた国内最大級の園芸・アウトドア総合展「第19回GARDEX」で、各メーカーの来年の新製品が披露された。日用品メーカーではフマキラー、アース製薬、また、大日本除虫菊のグループ会社として生まれ変わった「KINCHO園芸」など、殺虫剤・虫ケア用品市場を構成する主要3社が、消費者ニーズを汲み取った付加価値品で園芸市場の活性化を目指している。
今年1~9月の園芸用品(薬品)市場の販売規模は、前年比4%減。春先の天候不順や夏の記録的な猛暑などが影響したと考えられる。園芸市場は、コロナ禍のおうち時間の増加で規模が拡大したが、ここ数年は伸び悩みが見られる。気候の影響に加え、園芸市場特有のマイナス要因でもある「離脱者」の存在が、常にその動向に大きく関与しており、各社はその課題解消に向け、いかに分かりやすく使いやすいアイテムで新規顧客を取り入れ、離脱させないための施策を推進。それがどこまで生活者に受け入れられるかが、市場動向を左右する鍵になるといっても過言ではないだろう。
SNS活用策で離脱防止、除草剤を更に付加価値化
上記3社の来年の戦略を見てみる。 まず「カダン感動MAX」のテーマで新たな挑戦や価値の提案を進めるフマキラー。強みは、花苗、肥料、殺虫殺菌剤などを「カダン」ブランドでそろえ、園芸のトータル提案ができる点。多彩な花苗を展開するグループ会社のFSブルームは来春、ミニトマト、きゅうり、なすといった野菜苗も販売。強みのトータル提案の実績が小売店でも順調に上がっていることから、成功事例の横展開を積極的に行い、更に充実した売り場づくりを進める構えだ。
商品面では、混ぜるだけで古い土がふかふかによみがえり、再利用できる土のリサイクル材「カダン感動再生パワー」、石畳やアスファルト、ブロック塀のすき間などの雑草をムラなく枯らす泡ハンドスプレー「泡の除草王」などを投入する。また、サポートコンテンツ「AI園芸はかせカダンくん」などで園芸ユーザーをバックアップしつつ「新規ユーザーの取り込みと育成」「猛暑対策・秋園芸の拡大」「今までにない植物、園芸資材の売り場提案」を行う。 市場が縮小し、各社の苦戦が見られる中、安定した動きで市場の活性化に貢献し続けるアース製薬。各種施策により「ユーザーを離脱させていない」ことへの手応えを示している。その成功は、オリジナルキャラクター「まもるくん」を活用したSNSの展開によるところが大きい。悩み相談などを受けるもので、LINEのお友だち数は50万人目前、Xのフォロワー数は6万人を突破、と園芸カテゴリーでは圧倒的な消費者との接点の場を構築。YouTube、Instagram、TikTokなどでも積極的な展開を進め、より広い年齢層にアプローチしている。
商品面では、虫ケアアイテムを拡充。「お庭の虫コロリ」史上最長の7カ月間効果が続く点を訴求する「お庭の虫コロリPRO 鬼効きジェット」や、有効成分を多量に含んだ従来品比3倍の煙量の「ハチよけ撃滅線香40巻入」などを投入。また、人気商品の「やさお酢」は今年、更に来年と幅広い病気への適用を拡大させるなど進化を遂げている。
KINCHO園芸は、住友化学園芸時代の知見を生かしつつ、新技術を取り入れ、特に除草剤を強化。“最強”の除草剤を目指した「草退治ストロング」(粒剤、シャワー)は、最長1年間(粒剤)効果が続き「より強く、より長く、より速く」を提案する。また、今春発売した話題性のあるバイオスティミュラント活力液「X―ENERGY」に、粒タイプの「ロング」、アンプルタイプの「ダイレクト」を追加する。
市場全体では、除草剤の安定成長と、ネズミ対策剤の急激な伸びが見られている。除草剤は各社「効き目」の更なる追求に価値を見いだし、ネズミ対策剤は、上記3社共に殺虫剤・虫ケア用品メーカー及びその子会社であることから、新たな売り場提案を通した勢い加速に期待が集まる。
(詳細は「日用品化粧品新聞」10月20日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)