【花王】流通関係者に向け方針説明会
花王は11月26日、東京都港区の東京ミッドタウンで方針説明会を実施した。出席した流通関係者を前に長谷部佳宏社長、花王グループカスタマーマーケティングの中尾良雄社長が登壇、自社や市場の現状、今後の見通しと方向性などを説明し、理解を求めた。
長谷部社長は、日本経済で長く続くデフレからの脱却を訴え「脱デフレと共に、単なるインフレではなく健全なインフレのために花王ができることを、渾身の力でやっていきたい」とした上で、トイレタリー業界の現状を紹介した。これによると、2021年から25年上期までに原料価格は15%上昇し、値上げ幅は花王の日用品で14%増、小売業では29%増となったという。「我々が付加価値を上げて商品を展開し、更に店舗の方が価値を 上げて販売するということができつつある」(長谷部社長)という。また「1年前に比べて支出を減らしたもの」の調査結果について、日本国内で日用品は安い領域に入っているため対象にはなってないと述べ、この3年間、「戦略的値上げ」という言葉を用いて市場での存在感を上げてきたことを強調。基幹品と高付加価値品の両面で取り組みを強化し、顧客視点で双方をバランスよく提供してきた結果、売り上げを伸ばすことができたと説明した。
また、花王の基本方針として、高齢化、多様化の影響、環境問題、パンデミックと四つの社会変化を挙げ、これに対する「排他的独自性」が重要だと述べた。他より1歩も2歩も前に出て提案する力を持つもの、それが提供する価値になるものとして、自社の持つ技術に裏付けられた商品力、科学的なベースのあるマーケティングを挙げこの二つをもってグローバルに存在感を高めたいとした。
例としてUVケア、ヘアケア、化粧品、ファブリックアホームケアの商品展開を取り上げ、提案の幅を広げることを示唆した。
更にはマーケティング力に触れ、「花王では、よきモノづくりを超高速で回すための仕組みを完成させた」と述べつつ、長年にわたる適切な経験値をデータベースとし、そのためのツールとしてAIの活用を紹介。仮装人格AIによる疑似消費者を対象にした調査や、あるいはリアル消費者にAIインタビューアといった技術を展開しているとした。加えて「デジタル千里眼」を用いた併買構造の見える化や、世界中のマーケディングを分析できるエンゲージメントシステム「マーケティング施策データベース」をもってマーケティングを進化させていくとことを明らかにした。
(詳細は「日用品化粧品新聞」12月8日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)




