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【注目企業戦略】桃谷順天館 美を提供する企業の使命として様々な活動を実施

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【注目企業戦略】桃谷順天館 美を提供する企業の使命として様々な活動を実施

 美を提供する企業の使命として「人と地球の美しい未来を創るFor Beauty and Well―Being」をパーパスに掲げ、ピンクリボン活動や働き方改革の推進、自社工場でのゼロ・エミッションへの取り組みなど様々な活動を行う桃谷順天館。行政などからの注目度も高く、いくつもの表彰や認証を受けている。今回は二つの事例を通じて、取り組みを活性化させるヒントを探る。

 思いを語り、仲間と共に進める環境への取り組み

 2011年頃から、生産拠点の岡山工場では3R活動に積極的に取り組んできた。その結果、20年時点で工場から出る廃棄物や汚泥などは、ほぼ100%3R(排出抑制、再使用、再生利用)を実現。瓶はガラス原料へリサイクル、プラスチックは固形燃料、廃液はセメント燃料・原料として活用している。排水処理を行って出た汚泥は堆肥へ変換し、更に工場の敷地内でのラベンダー育成にも利用しているという。
 「当時は社会全体として、環境問題への意識がそれほど高くない時代。私たちの取り組みも廃棄物のコストダウンという目的で始まったものでした。汚泥を堆肥にすることから始めたのですが『捨てていた物が新たに生まれ変わる』という発見が新鮮でしたね。『他の物もできるのでは?』と、どんどん面白みが出てきました」と、山本義人工場長は当時を振り返る。
 2年前にプロジェクト化したことで一気に加速し、ゼロ・エミッション達成へとつながった。しかし、実現には廃棄物の分別の徹底などの手間や、費用が掛かることも。また、直接利益を生み出さないことに対して戸惑いを見せる従業員もいる中で、山本工場長は「お客様に綺麗になっていただくものをつくっているのに、たくさんゴミを出したり、エネルギーを使ったりしていて良いのか?次の世代や、生き物が継続していくためには少しずつ取り組まなくては」と、折に触れて思いを語り続けた。徐々に協力者が増え、現在は従業員からのアイデアも挙がるようになったという。
 「プラスチックは燃料化するだけでなく、花壇の柵などの擬木に生まれ変わらせることができるのですが、仲間がそれを見つけてきてくれた時は『やった!』と一緒に喜びました。一人ではできないことばかりで、仲間の力があったからこそ少しずつ実現できたと感じています。今後はアップサイクルの研究も考えています。仲間の声をもっと生かしながら、みんなと思いを一つにして活動を続けていきたいですね」と展望を語る山本工場長。社内でも先陣を切った取り組みは、研究所や他の部門にも波及して好影響を与えている。

 どんなライフステージになっても働き続けられる環境を整える

 テレワークやフレックスタイム、時間単位有給休暇の導入から始まり、19年4月から加速した働き方改革は、様々な制度導入を含め23にも及ぶ。この背景には、取り組み開始時に行った外部講師による社内講演で、経営層も含め社員全員が同じ方向を向けたことにある。長時間労働が美徳とされてきた世代の意識改革や、制度を浸透させる際に課題となりがちな「利用しやすい雰囲気」が早い段階で社内に根付いたのだ。
 20年6月には、従来の生理休暇をPMSにまで広げた「エフ休暇」と、不妊治療の通院や体調不良などに対応した「ライフサポート休暇」を導入した。制度設計に尽力した人事部の平川沙弥氏は「どちらも名称を社内公募したことが良い効果を生みました。公募をきっかけに生理休暇を知らなかった方も利用するようになり取得率は約2倍に増加、PMSの症状への理解促進にもつながっています。当初はライフサポート休暇もエフ休暇に含めようとしていましたが、不妊治療は男女問わず負担になることなので別の制度としました」と、従業員への配慮を見せる。
 こうした様々な制度を導入したことで、働き方の幅が広がったと従業員からは好評の声が寄せられている。しかし、平川氏は制度の取得率向上を次の目標とはしないと語る。「ライフステージの変化によって、仕事とプライベートの両立が難しくなり、どちらかを諦めなければならなかった方など、本当に必要な方が利用しやすい制度とするために、現制度をそのまま推進していくのではなく、ブラッシュアップしていくことが大切だと考えています。アンケートなども実施して柔軟に改善していきたいですね。どんなライフステージになっても働き続けられる環境を今後もサポートしていきます」。
 それぞれの取り組みを語る生き生きとした表情が印象的な両氏。社内風土として、お互いの活動に興味を持ち、情熱を持った人に協力しようとする姿勢がある。それが更に熱量を高める好循環となり、次々に新しい取り組みが生まれる土壌づくりにつながっている。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」4月11日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)

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