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大人用紙おむつ特集 高齢化社会に健康寿命延伸を目指して進むフレイル予防の取り組み

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大人用紙おむつ特集 高齢化社会に健康寿命延伸を目指して進むフレイル予防の取り組み

 官民一体となった「健康向上活動」が展開

 健康寿命の延伸——高齢化社会に突入した我が国にとっては最大のテーマといえ、この対応へ向けた取り組みが各方面で進んでいる。特に加齢などに伴い心身が弱っていくことを指すフレイル。その予防への対応は、衣食住を始め各産業の大きな課題といえる。コロナ禍で外出頻度が下がったこともあり、高齢者の運動や認知の機能低下が懸念される中、業界はどんな対応を進めていくのか。
 国のデータによると、2020年から30年までに、国内人口に占める50歳以上の人の割合は48%から53%に上昇し、全体の平均年齢も48・7歳から50・0歳に、65歳以上のうち75歳以上の人は51・7%から61・6%にまで高まる。この年、団塊世代の全員が80代を迎えることになる。
 これに連れて、個人の健康に対する意識は高まる一方だ。健康維持に取り組んでいるという人は最近5年間に約1・5倍に増えたという調査結果もある。
何より、国の政策として進む「健康日本21(第二次)」では、中心的な取り組みの一つに「介護予防・フレイル予防」が設定されており、また民間企業からも様々な製品、情報が発信、提案され、正に官民一体となった「健康向上活動」が展開されているのが現状だ。
 流通の啓発も進んでおり、一例として東京都化粧品日用品卸連合会(都連)は、このほどフレイル予防対策に関する勉強会を実施する予定で、新たな市場の可能性を探りたい考えを示している。

 歩行を支援することで生活全体の自立度を高める提案を開始

 直接的なところでは介護用品が対象の一番手で、特に大人用紙おむつは取り組みの深化が進む。最大手のユニ・チャームは、2020年から排泄自立を支援する施策を展開してきたが、更に一歩進め「ライフリー歩行アシストパンツ」を中心に、歩行を支援することで生活全体の自立度を高める提案を開始している。発売当初から反響は大きく、注目度は高まる。このほど商品名を「ライフリー歩くのらくらく うす型パンツ」に改称し、商品の機能や目的を分かりやすく伝え、従来以上の拡大を目指していく。
 大人用紙おむつを購入したり持ち帰ったりするのは恥ずかしいという声に応えて、大王製紙が一般発売に踏み切るのが「アテントかくさないパッケージ」。シンプルながら情報はしっかり分かるパッケージで、当初は抽選販売の限定企画品として、その後にオンライン限定ながら販売を常態化、そしてこのほど全国の小売店での購入を可能にした。ブランドを通じ、介護についてオープンに話し合える商品や環境や場所、サービスを増やしていくことで、「介護の社会化」を目指すのだという。
 更に、施設との取り組み強化を図ったのがリブドゥコーポレーション。病院と共に高機能パッドを用いた排泄ケアの標準化や教育活動を図り、パッド3回交換の実現と、漏れや肌トラブルの改善を支援。この結果、病院の改善活動が「看護業務の効率化先進事例アワード2021」で優秀賞を受賞した。
 なお、大人用紙おむつ市場内で約2割を占めるパッドタイプは、夜用や長時間用への移行が進んでいるという。背景には、コロナ禍による在宅介護の増加や、介護そのものの重度化がある。また尿取りパッドもスタンダードタイプから夜・長時間用への移行が進み、主要メーカーでは今後も安定した推移を見せるものと予測する。これもまた社会変化に伴うもので、注目すべき動きと言えそうだ。
 歩行支援の観点では、花王が足の動きやバランス感覚、また認知機能の一部までサポートする機能性表示食品を発売。同時にドラッグストアと組んで、自社の歩行モニタリング技術を用いたサービス「まいにち歩行日記」を開始した。歩行量計を貸し出し、歩行の質を見える化、分析し、管理栄養士がシニアの一人ひとりにアドバイスするなど、健康維持・向上をサポートするもの。
 カミソリメーカーの介護提案も目立ち始めてきた。ボディケアへの関心の高まりからも市場で注目を集める「VIOケア品」は、これを使うことで介護する側とされる側双方の負担軽減につながるという提案を各社では強めている。多くの商品が登場する中、フェザー安全剃刀「ピアニィVIOデリケートゾーン用」や貝印の「FEMINICAREすきカミソリ2本入」は代表格。両社では使いやすさを強調し、幅広い用途での使用を啓発することで市場拡大につなげていく考えだ。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」4月18日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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