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【注目業態】「アットコスメトーキョー」 グループ初の路面店として来店客の多彩なニーズに対応

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【注目業態】「アットコスメトーキョー」 グループ初の路面店として来店客の多彩なニーズに対応

 アットコスメの世界のリアルゲートウェイ

 2020年1月、JR原宿駅前にオープンした、アットコスメのフラッグシップショップ「アットコスメトーキョー」。グループ初の路面店として、約600の取り扱いブランド、1300㎡の売り場面積を誇る。来店客の多彩なニーズに対応するため様々なアプローチを仕掛け、店舗を訪れる楽しさを演出している。
 メディアの「アットコスメ」、リアル店舗の「アットコスメストア」、ECの「アットコスメショッピング」を柱とし、それぞれを連携して独自価値を生み出しているアイスタイルグループ。様々なシーンで生活者とつながり、新しい買い物体験を創造し、提供している。昨年7月には、店舗事業を運営するコスメネクスト、化粧品専門ECを展開するコスメ・コムが統合し、アイスタイルリテールが誕生。店舗とECの垣根を今まで以上に取り払っているという。
 アットコスメトーキョーが目指すのは、このアットコスメの世界のリアルゲートウェイだ。アイスタイルリテール店舗カンパニー副カンパニー長の石井亮取締役は「アットコスメを見て商品、ブランドに興味を持ち、店舗やECで購入するなど、グループを通じてシームレスで楽しめるサービスを提供しており、その世界を体現できるのがフラッグシップショップです」と自信を示す。
 低価格帯から高価格帯、セルフブランドからカウンセリングブランドまで数多くの商品を取り扱うだけではなく、「ベストコスメアワード」受賞品や殿堂入りアイテムが並ぶ“ベスコスタワー”、口コミ評価の高いアイテムを陳列した「アットコスメウィークリーランキングコーナー」など、アットコスメと連動した企画コーナーを展開していることも魅力の一つ。ブランド横断でアイテムに触れられる「テスターバー」なども設置して、商品を試しやすい空間づくりに配慮しているのも大きな特長だ。
 イベント配信・公開収録を始め、メンズメイク体験セミナーの実施、店舗限定グッズの展開、アイドルグループの衣装の展示などを通じ、店舗ならではの“今、ここでしか”体験できない、手に入らないという価値を提供することも重要視。これらの情報はオンラインで発信し、興味を持ってもらい店舗へ足を運んでもらうきっかけづくりにもつなげている。なお店舗の魅力を測る上で、グループが重視している指標の一つが「買い上げ率」。入店客数のうち購入客数の割合を表すもので、店舗への入りやすさなどのバランスを考慮し、グループでは40%を理想としている。同店ではそれに近い数字を記録していることから、生活者を引き付ける店舗づくりに奏功していることがうかがえる。

 DXで体験価値の最大化図る

 リアルならではの価値づくりに加え、オンラインを駆使してブランドとの出会いや接客、購買といった体験価値をDXで最大化することも追求している。サンプルなどを事前に送り、商品を試してもらうこともできる予約型のオンライン体験会、不特定多数の視聴者に向けたライブコマース、店内を案内しながら商品購入にもつなげる買い物コンシェルジュなど、様々なアプローチによって、店舗に足を運べない人に向けた“バーチャル店舗”体験も充実。アットコスメトーキョーでの成功例を他のアットコスメストアへと広げていくことも進んでいるという。
 デジタルとの融合で言えば、カウンセリング台帳の電子化も事例の一つ。アットコスメトーキョー、アットコスメストアでの接客活動・体験を可視化し、更なる価値向上を図るもので、将来的にはECとも連動して買い物体験の質をアップデートさせていく考えだ。
 また、スタッフが様々な情報を発信するコンテンツも目立つ。「教えて!美容部員さん」では、スタッフが店舗内を紹介しつつ、おすすめアイテムなどを動画で紹介。アドバイスを通じてスタッフの専門性をより深く訴求できることに加え、ECとの連動もスムーズで、気になったアイテムをすぐ購入してもらえるというメリットもある。

 スペースの有効利用にも積極姿勢

 今後、ますます施設が活用されていくことも期待できそうだ。アイスタイルリテール店舗カンパニーFGS事業部の茂木大輔部長は「コロナ禍の制限が徐々に緩和されてきたことで、様々な施策が柔軟に組めるようになってきました。原宿の人通りも戻ってきているため、店外へ向けた公開イベントなどもやりやすくなってくるはずです」と分析。大型イベントなども実施できる3階の多目的スペースの活用にも積極的に取り組んでいきたいとし「商業利用できることはまだあまり知られていません。我々としても模索中ではありますが、ブランドとの協働を含めて企画を考えていきます」と意欲を見せる。
 また、棚の前に立ち止まったり、商品を試したりという“購買前行動”をデータ化し、ブランドへ提供する仕組みづくりも進めている。石井取締役は「商品を売るというより、美容好きな人、発信力がある人が多く訪れる店舗の中で棚に出店してもらうというイメージです。D2Cブランドなど、リアルでの接点があまりないブランドと、ユーザーの接点をつくってもらう機会にもなり、集客やマーケティングにつながれば。アットコスメならではのアレンジをしつつデータを提供したいと考えます」と今後の展開を見据える。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」5月23日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)

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