夏季特別企画「大手３社に聞く殺虫剤・虫ケア用品の巻き返し策」 アース製薬・降矢良幸常務営業本部本部長
--今年は梅雨の期間が続きました。市場への影響は。
「昨年、関東では例年より２０日ほど早い６月下旬に梅雨明けしてしまい、以降、記録的な猛暑となりました。梅雨がほぼ無いような形でしたが、今年は梅雨の期間がしっかりありました。梅雨が続けば、蚊が多く発生することが考えられます。そういった点をお得意先様としっかり話し合って、今後の売り場づくりに生かしていきたいと考えています」
吊り下げ虫よけ改良で前年比１０７％
--そんな中、御社の状況はいかがですか。また、好調なカテゴリーなどは。
「当社も前年比減ですが、シェアは１・４ポイント上げています。今後は、気象の影響を受けづらく、高付加価値かつ高単価の商品によって市場を拡大させていくことが課題です。好調なカテゴリーでは、ダニ用が目立っています。ダニは、天候に左右されにくく、小さな子供やペットがいる家庭での需要も高いことから、各社が力を入れている商材です。当社でも、ダニ対策の情報サイト『Ｄａｎｎｙ（ダニー）』で使用の啓発を行ったり、また、衣類用防虫剤にダニの忌避効果を加えたりと展開の幅を広げています。また、トリプル処方に改良した「アース虫よけネットＥＸ」は、吊り下げ市場が前年比97％の中、当社は１０７％と伸長していることから、改良点が消費者意識にマッチしたと考えています」
ベトナム、マレーシアでの展開強化へ
--海外展開については。一昨年はベトナムの現地企業を子会社化、今年はマレーシアに販売会社を立ち上げました。
「以前から展開しているタイに加え、ベトナム、マレーシアでの展開を強化中です。ベトナムは生活水準も上がっており、これまでの蚊取り線香だけでなく、人体用虫よけやワンプッシュなど様々な剤型があることを多くの人に知ってもらい、購入へとつなげていきたいと考えています。また、今後はラオス、カンボジア、ミャンマーへの広がりなども検討しています。ビジネスの拡大はもちろんですが、感染症を予防し、人の命を守るというＣＳＲ的な活動についても、より多くの場所で商品が買えるような環境整備を進めていきたいと思っています。ＡＳＥＡＮ地域はまだまだ個人商店が多く、一気に拡大することは難しいかもしれませんが、現地の販売網を使ってしっかり広げていく考えです」（詳細は「日用品化粧品新聞」８月１日号）
