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【特別インタビュー】ポーラ/小林琢磨社長”独自資産で新たな価値創出”

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【特別インタビュー】ポーラ/小林琢磨社長”独自資産で新たな価値創出”
企業理念強みに展開

 2025年1月1日付でポーラの社長に小林琢磨氏が就任した。ポーラ・オルビスホールディングスグループの各ブランドで成果を創出した手腕が評価されており、事業環境の悪化で苦戦傾向にあるポーラを成長軌道に導くことに期待がかかる。小林新社長に、飛躍の鍵を握るブランドの魅力、そして今後の戦略を聞いた。
 ――これまでのご経歴を教えてください。
 「ポーラ・オルビスグループのプロパーであり、その中で幅広い会社の経営に携わってきました。2002年にポーラに入社し、所属したのがホテルアメニティを取り扱うBtoB事業部で、部署内で法人営業、商品開発、販売促進、物流管理などを行っていたので、様々なことに取り組みました。その後は社内ベンチャー第1号として立ち上がった敏感肌スキンケアのDECENCIAで、09年から取締役、10年から社長を務め、ビジネスデベロップメント、マーケティングを経験しました。17年からはオルビスでマーケティング担当の取締役を務めて18年から社長に就任し、通販、直販、化粧品専門店、リテール、ECモールなど幅広いサプライチェーンを管理してきました。なお20年からはポーラ・オルビスホールディングスの取締役も兼務しています」
 ――オルビスでは業績回復に貢献されたと聞いています。
 「ここ数年好調で、24年12月期の第3四半期では売上高が15%増、営業利益が48%増となりました。17年の取締役就任当時は、通販化粧品は化粧品とは別カテゴリーのように市場から認知されていました。そこで行ったのは、パーセプションチェンジを図ること。良いプロダクトをつくっているという自信はあったので、スキンケアブランドとしての認知を高めるためにリブランディングを開始し、付加価値型のブランドへと構造改革を進めました。これが奏功し、美容誌では読者の選ぶ好きなスキンケアブランドの上位に選ばれるなど、生活者に認められるようにもなっています。以前は売り上げの多くを占めていた商品は1500円ほどでしたが、現在は『オルビスユー』『オルビスユー ドット』といった3000円以上のアイテムが構成比の7割超を占め、売れる商品の価格帯が2倍ほどになり、販売個数も増加したことから、売り上げ、利益の大幅な上昇につながり、組織構造が強くなったことが好調の要因の一つと考えています」
 ――ポーラではどのようなことを進めていきますか。
 「私がこれまでEC、デジタルマーケティングに取り組んできたため、リアルの現場を軽視しているのではと思われることがありますが、デジタルマーケティングの限界もよく分かっています。ECは購買の選択肢としては大事ですが、差別化はできません。強みを生かしてより生産性を高くするため、ブランド体験にDXという進化は必要ですが、ポーラブランドを強くし、たくさんの人に商品を届けるために独自資産を見極めるのが大事だと考えており、企業理念である『Science.Art.Love.』が強みになると思っています。最先端研究、地域社会への貢献、女性応援といったイメージは、ユーザー調査で高いスコアを記録しており、ターゲット層への訴求力、つながりの強さが独自価値につながっていると感じるので、徹底的にそこにこだわりたいですね」
 ――競合ブランドにない価値を追求するということでしょうか。
 「Scienceにおいては最先端の研究への投資を進め、優れた研究開発力を有していると自負しており、横浜市戸塚にはTDCという新しいグループの研究開発拠点が誕生し、いろいろな価値を生み出す場として活用していきます。Artではポーラ名を有した美術館があったり、製品のパッケージデザインはもちろん、製品のコンセプトや価値に思想や哲学など、Artの要素を取り入れ開発を進めたりしています。また、Loveに関しては人と人との関係づくり、社会貢献を重視した取り組みが挙げられますが、労働人口が減少し、販売現場で接客をする人の成り手がいない中で、ポーラ商品だけを販売する委託販売契約の方々が数万人いて、またその中で何十年という経験を持っている人がたくさんいることはとてつもない強みで、今後つくりたくてもつくれない資産です。事業、チャネルにとらわれない『One POLA』を打ち出して、顧客体験価値を拡大していきます」

(詳細は「日用品化粧品新聞」2月10日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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