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アース製薬 川端克宜社長 特別インタビュー

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アース製薬 川端克宜社長 特別インタビュー

 虫ケア、オーラルケア、入浴剤、園芸用品など多岐にわたって目指す付加価値化

 長引くコロナ禍において、拡大する市場、縮小する市場の差が鮮明に表れている。それは企業間にも同じことが言えるだろう。虫ケアからオーラルケア、入浴剤、園芸用品、その他幅広いカテゴリーに参入し、また、バスクリンや白元アース、アース・ペット、アース環境サービスをグループ企業に持つアース製薬は、どういった戦略で変化する需要に対応しているのか。川端克宜社長にこれまでの振り返りや市場動向、また、自社のあるべき姿などを聞いた。

 販売体制を整えシェアを回復

 --コロナ禍での混乱が続いていますが、最近の市況を振り返ってどうですか。
 「同じコロナ禍でも、時期によって生活者の意識や生活様式の変化が見られ、市場も2020年と21年では異なる動きを見せました。虫ケア用品では、20年はおうち時間の増加で市場が前年比約16%増と大きく伸びましたが、21年は約5%減とその勢いも落ち着きました。とはいえ、21年も19年比では約10%増と伸長しています」
 ——昨年の虫ケア用品市場は前年を下回りましたが、御社はプラスで推移し、シェアも回復したようですが。
 「20年は新型コロナウイルス感染症拡大という想定外の事態により、欠品が続いてシェアの縮小を招きました。昨年は、その反省を踏まえ、販売体制をしっかり整えたことでシェアを55.1%から55.8%へと回復させることができました」
 —虫ケア用品では、昨年は『おすだけアースレッド無煙プッシュ』などの新製品が売上増に貢献したのではないでしょうか。  「ゴキブリ用のワンプッシュでは、金鳥さんの『ゴキブリムエンダー』が新たな価値を提案され、市場を創造されました。正直なところ、メーカーとしては『やられた』という思いはありましたが、私の中では、他社さんでも良いものは見習えという考えがあります。ワンプッシュ式は、手軽さが特長ですし、お客様にベネフィットを提供することで、市場全体の拡大につなげていければと考えています」  —近年、ダニ用市場の伸びが目立ちます。御社も「おすだけダニアースレッド 無煙プッシュ」を始め、商品投入が積極的です。  「ダニ用は、住宅環境の変化などで拡大していますが、今後もその傾向が続くと見込んでいます。昨年発売したシートタイプの『ダニがホイホイ ダニ捕りシート』は、ヒットしていますし、今年の新製品の『マモルーム』は、ダニ用で電気式のダニよけ器具が市場に無いことから、多くのお得意先様から期待されています。特に電気式については、ハエ・蚊用の『アースノーマット』で当社には一日の長があります。各社が独自に持った強みを生かすことで、先程も申し上げたように、市場全体が拡大していくはずです」  —オーラルケアや入浴剤はいかがですか。  「『モンダミン』はこれまでも伸びが続いていましたが、コロナ禍での衛生意識の向上で更に拡大しました。入浴剤では、昨年発売した『温泡 ONPO Kids』が話題を集めています。バスボールなどの子供向け入浴剤市場は、20年が前年比約30%増と好調ですので、この商品の発売で更に勢いがつくものと期待しています」  —「温泡ONPO Kids」は、異なる香りの錠剤2個を混ぜ合わせて、色や香りを想像して楽しむという価値が親子の入浴需要に刺さった形です。  「入浴剤の需要の開拓ポイントとしては、色、香り、また効果効能などは当然として、あとは使い方。入浴シーンを楽しくするための付加価値を探求し、1個ではなく、2個入れたらどうなるかという発想で、行き着いたのが子供向けの入浴料だったということです。『2個入れるなんてもったいない』という消費者が多ければ、その商品は売れないはず。でも動きが良いのは『楽しいので2個入れてもいい』と考える消費者が一定数いるということではないでしょうか。柔軟な発想の開発で新しい価値を見いだせた一つの事例と捉えています」

 (詳細は「日用品化粧品新聞」3月7日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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