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響く原料高、伸びる海外 ー主要企業の決算状況ー

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響く原料高、伸びる海外 ー主要企業の決算状況ー

原材料価格の高騰の影響目立つ

 日用品化粧品業界の主要企業の2021年12月期決算が出そろった。いずれも長引くコロナ禍の影響が色濃く残る部分が見られるが、売上面では下げ止まりから回復に転じる企業が見られた。反面、利益確保に腐心するケースが少なくないなど、社会や経済の動向に伴う様々な結果が示されている。
 日用品・トイレタリー系では、原材料価格の高騰により利益額を落としたとする企業が目立った。2021年12月期連結決算では、花王は営業利益が1435億円で前年比321億円の減少となったが、このうちほぼ半分の160億円を原材料高騰による減少分としている。ユニ・チャームが公表しているコア営業利益は、前年より78億円の増益となったが、原材料関連は83億円の減益要因となった。ライオンも独自に算出する事業利益の中で、原材料価格の上昇によって37億円の影響を受けたとしている。
 単純計算で、この3社だけでも280億円余りの利益が失われたことになる。「特定のものに限らず、ほぼ全ての原材料、資材が値上りしている。しかも値上げ幅が大きい」(中堅メーカー)のに加えて「高騰は今年下半期以降も続くと予測する声が多い。加えて、効率化が進んでいるとはいえ物流費も上昇しており、その他、競争費用も確実に増えることが見込まれる」(大手メーカー)という。原材料だけでなく、あらゆるコストが上昇機運にある中で、利益の目減りを可能な限り抑えることが求められそうだ。

海外事業の伸びが売り上げを支える

 一方で、決して好況とは言えない経済環境下にあって、売上面では堅い数字が見られる。前年比で花王は2・7%増、ライオン3・1%増、ユニ・チャーム7・6%増。参入分野の違いから、コロナ禍で需要を伸ばしたカテゴリーの有無、反動の多寡などはあったが、いずれも付加価値商品の構成比を高めるプロダクトミックスが寄与、あるいは海外事業が国内減少分をカバーするなどして、こうした数字を残した。
 また、アース製薬も3・9%の増収、営業利益は6・6%の減益、小林製薬は3・1%増収、営業利益0・5%増益とどちらも中国での販売拡大などで順調な増収を果たした。
 化粧品大手については、同様の傾向が見える数字となった。資生堂の売上高は12・4%増、コーセーは決算期変更に伴い9カ月間での変則決算となったが実質4・8%増。ただし、国内事業に限ればコーセーは横ばい、資生堂はパーソナルケア事業を売却したこともあり9%近い減収となった。ポーラ・オルビスHDも売上高1・3%増ながら、国内事業は市場の回復が進まず、海外事業の伸びが支える増収増益だった。各社共に、プレステージ、ハイプレステージと呼ばれる高額品や主力ブランドを中心に海外事業が好調で、全体の業績に寄与した形は共通している。

(詳細は「日用品化粧品新聞」2月28日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)

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