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【注目ブランド戦略・フマキラー】ワンプッシュなどで新価値提案

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【注目ブランド戦略・フマキラー】ワンプッシュなどで新価値提案

 外出機会の増加がプラスに働き、人体用虫よけが伸長

 巣ごもり需要で拡大したカテゴリーの一つとして、名前が挙がる殺虫剤。メーカーによる多彩な価値提案で、ますます注目度が上がっている。高効力商品を続々と投入するフマキラーも、市場活性化に大いに貢献している1社だ。ここでは、詳細な市場分析から戦略を組み立て、各種アイテムの成長へとつなげているマーケティング部の真鍋友和課長に、現状や今後の見通しを聞いた。   ――好調が伝えられてきた殺虫剤市場ですが、直近の状況を教えてください。
 「今年の立ち上げからGW前までの市況は、昨年同時期が低調だったこともあり、前年比4%増と好調に推移しておりましたが、GW後は気温の低下や天候不順に伴い失速しています。気象庁発表の予測では5月後半からは天候が回復する見込みなので、そこからの巻き返しに期待しています」
 ――カテゴリーごとの動きはいかがでしょう。
 「ここ2年のコロナ禍で、けん引してきたのは主に屋内での対策商材です。外出自粛による巣ごもり需要の高まりで、ゴキブリ、ダニ、コバエなどの対策商材が好調でした。これらのカテゴリーでは反動が出てきており、大きく減少しています。その一方で今年伸びているのは、外出機会の増加がプラスに働いている人体用虫よけ。中国市場向けやインバウンドでの売り上げも大きかった商材ですが、上海のロックダウンがあったり、海外からの渡航者がいなかったりという逆風の中でも善戦しています。5月2週目までの累計は3%増と前年を上回っており、気温が上がっていない状況でも伸びていることは明るい材料です」
 ――人体用虫よけでは今春、新しいアイテムを投入しましたね。
 「使用制限や年齢制限が無い虫よけ成分『イカリジン』を配合した『スキンベープイカリジン』ではテレビCMやウェブコンテンツ、店頭販促物の拡充を図り、最需要期に向けて露出を拡大していきます。流通への成分の理解も深まり、配荷も進んでいます。人体用虫よけはコロナ禍前に100億円を超える市場でしたが、この2年は80億円程にとどまっています。言い換えると外出自粛の煽りを最も受けたサブカテゴリーということになります。お出かけロスによる消費者のストレスは高く、近年のキャンプやベランピングなどのブームにも表れています。アフターコロナへの施策は多くの流通の賛同を受けており、手応えを感じています」
 「また、同じくイカリジンを用いながら、主に若年層をターゲットにした既存品の『天使のスキンベープ』はベビー専門店で大きく展開してもらうケースが増え、売り上げを伸ばす成功事例も出てきており、他の専門店やドラッグストアなどでの水平展開もしていければ。積極的に7~8月の需要期に向けてのMD提案を進めていきたいです」
 ――ハエ・蚊用の動きもポイントとか。」」
「ハエ・蚊対策商材は昨年、天候を要因として5~6月に失速しました。そのため今年は7月までの最盛期に向け、売り場づくりを仕掛けていきます。殺虫剤市場の約半分を占めるボリュームゾーンであり、ここが上がってこないと市場が元気になりません」
 ――剤型で言えば、簡便性などが評価されワンプッシュ商材への注目度が高まっているようですね。
 「付加価値品として非常に引き合いが強まっており、市場の単価アップにも貢献しています。ハエ・蚊用だけでなく、ゴキブリ、ダニ、コバエ用でも続々とアイテムが登場するなどトレンド化しており、当社も強化剤型として力を入れています。例えば、羽ばたき防止効果や2週間の発生予防、生ごみの不快なにおいの消臭などにつながる『コバエワンプッシュ』は市場では後発のアイテムでしたが、発売して20%ほどのシェアを獲得できました。また、今年は『おすだけベープ』シリーズを一新して24時間蚊に効く医薬部外品処方を採用した他、新たに1週間イヤな虫の侵入を予防できる『おすだけベープスプレールームバリア(不快害虫用)』を発売しました。梅雨明けからが勝負の時期で、気温が25℃を超えると、売り場でも大きく動いてくると考えています
 ――網戸用アイテムについても好調だと聞きます。
 「確かに引き続き伸びています。虫よけプレートのヤマは5月末から6月頭にかけてで、その後、露出は縮小しますが、網戸を使う7月下旬にかけて当社の『虫よけバリアスプレーアミ戸窓ガラス』などの商材は引き合いが強まるので、年間にヤマが2回あることになります。網戸用は市場にアイテム数も増えて売り場が広がっており、露出が増加したことで市場拡大につながっています」

 人気アニメとのコラボで若年層の取り込みも

 ――販促施策では、4月にスタートしたキャンペーンが話題ですね。
 「人気アニメの『ゆるキャン△』はキャンプやアウトドアとの親和性が高いこともありますが、若年層の取り込み、蚊やマダニなどから身を守る啓発にもつなげています。SNSでも大きな反響がありました。キャラクターのPOPや等身大パネルを展示した売り場は2000店舗ほど立ち上がっており、商品購入者に抽選でオリジナルグッズをプレゼントするキャンペーンやタイアップ動画も作成しました」
 ――今後の需要期に向けての意気込みも聞かせてください。
 「現在、殺虫剤市場は1300億円ほどで、ECも含めると1500億円ほどの規模と見られています。規模が大きく、単価、利益も大きいカテゴリーであり、ハウスホールドの中でも重要視されています。殺虫剤市場はコロナ禍のような社会要因よりも天候、気温要因との相関が強く、暦通りに暑くなり、雨が降ることが大事です。ここからシーズンも最盛期を迎えますが、需要をしっかりと取り込み、市場の最大化を図ってまいります」

 (詳細は「日用品化粧品新聞」6月6日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)

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