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【浄水器市場】ユーザー定着化でカートリッジ拡大

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【浄水器市場】ユーザー定着化でカートリッジ拡大

 本体の出荷台数は前年同期比1・8%減、カートリッジは7・6%増

 在宅時間の増加で水への関心が高まり、市場のパイも拡大した浄水器。ペットボトル飲料の代替にもなりうることからプラスチック削減につながることも存在感アップに一役買っており、メーカー各社では多彩なアプローチで新規ユーザーの開拓にも尽力している。

 浄水器協会の統計によると、2021年度の浄水器本体の出荷台数は439万6000台で前年同期比1・8%減、カートリッジの出荷台数は3035万6000台の同7・6%増だった。 コロナ禍の巣ごもり需要の高まりを背景に、20年度は浄水器本体が蛇口直結形、据え置き形、ポット・携帯形のいずれも伸長し10・3%増と大きくプラスとなったが、その反動が見られた形だ。一方で、市場のパイの拡大を象徴するようにカートリッジは20年度の4・2%増を上回る伸びとなり、メーカー担当者は「巣ごもりで新規に浄水器を使うようになった人も多く、その人たちが利便性に気づき着実にリピーターになってくれていることが見て取れる。高価格帯、高付加価値のカートリッジの回転が非常に良く、工場での生産が間に合わないケースも出てきているほど」と市場が活性化している様子を明かす。
 22年度上期も浄水器本体が228万4000台、カートリッジが1666万1000台と共に前年を上回っており、引き続き新規ユーザーの定着が期待されるところだ。

 新たなカテゴリーのアイテムについてもJIS化を検討

 市場ニーズに合わせ規格化を推進
 近年、多彩なタイプの家庭用浄水器が続々と出現していることから、浄水器協会を中心に業界内で規格・基準化を進めていることも見逃せない。家庭用浄水器の試験方法や製品規格についてはJIS規格化しているが、浄水シャワー、サーバー形浄水器といった、引き合いの強まる新たなカテゴリーのアイテムについてもJIS化を検討し、関係団体と協議を行いながら施策を進めている。新たな課題に対してはその都度、協会内に設けた委員会などで議論を行っているという。
 直近で言えば、水道水源から暫定目標値を超える物質が検出されたという一部報道もあり、関心の高まる「PFOS及びPFAS」(有機フッ素化合物)への対応が挙げられる。活性炭をろ材としている家庭用浄水器で除去可能かを検討し、その試験方法を協会自主規格(JWPAS)に追加した。
 同じく関心が高いマイクロプラスチック環境汚染についても環境対策委員会を中心とし、有識者などへ協力をあおぎつつ知見を深めているところで、協会担当者は「現時点では人体に対する明確な健康被害の報告は聞いていないが、魚の体内、排泄物に蓄積されていたという報告もある。もちろん水道水は安全であるが、法令関係の規制も厳しくなることが予想され、浄水器がどのように貢献していけるか考え、対応していきたい」とする。
 ユーザーへの発信力強化も協会に期待される部分だろう。現在、浄水カートリッジの模倣品がインターネットサイトに出回っていることから、消費者庁などとも対応を協議。協会内に模倣品被害対策委員会を設置し、ホームページなどを通じて消費者への注意喚起を図っている。更には浄水機器を購入後も健全に使用できるよう、維持管理指針を策定し、冊子としてまとめる予定もあるなど、様々なアプローチで浄水器の安心、安全な使用へとつなげていく考えだ。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」4月3日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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