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〝脱コロナ〟後の市場を見据えて、日用品・化粧品の今後の動向を占う

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〝脱コロナ〟後の市場を見据えて、日用品・化粧品の今後の動向を占う

 各種提案への受け入れ性高く

 コロナ禍も少しずつ落ち着きつつある中で、日用品・化粧品業界では2023年上半期も様々な動きが見られた。従前からの課題が解決に向かいつつあるもの、また積み残しているもの、新たにクローズアップされてきたものなどが混じり合い、各社はそれぞれに対応を進めている。今後の動向を占ってみる。

 新型コロナは事実上収束へ
 最初の報道から3年余りを経て、新型コロナウイルスの感染拡大が収束の局面を迎えた。年明け以降、感染者数は減少傾向にあったが、5月になってようやく政府が感染症法上の位置付けをそれまでの2類相当から5類相当に引き下げ、合わせて基本的対処方針と業種別ガイドラインを廃止したことで、多くの社会的活動は個人の判断に委ねられた。街には人出が戻り、これに伴い良くも悪くも各市場が動き出している。
 商品面では、感染予防などの需要を伸ばしたカテゴリーは、その反動という意味で減少するケースが目立つ。ハンドソープや手指消毒剤はもとより、着用率が意外に下がっていないと言われるマスクも落ち着いた動き戻りつつある。いずれも、海外製品やアウトサイダーが提供した商品群は少なくなり、従来の定番ブランドがしっかりと売り場を固めている印象だ。市場はそれぞれ、コロナ禍以前の規模より上積みされた数字となっていることから、衛生・清潔意識は依然として続いていることを示していると言えそうだ。
 外出機会が減少していたことで影響を受けてきた化粧品関連は、マスクによる肌荒れをケアする意味でスキンケア市場が活況を呈してきたが、落ち込みが大きかったメイク分野は徐々に回復に向かいつつある。昨年来、落ちにくさを訴求するリップが爆発的なヒットを飛ばしてきたが、合わせて、脱マスク後の生活をにらんだ各種提案も受け入れ性が高く、今後更に加速をつけて上昇に向かうことが期待される。 

 価格だけではない提案が強く求められる

 値上げの動きと物流問題

 円安、原材料や資材の高騰、背景にあるロシア・ウクライナ問題をきっかけに、各市場で商品値上げの動きが相次いだ。重ねて、電気代、人件費、配送費、その他のコストアップ要因が折り重なっていることも、値上げ止む無しの空気を醸成した。
 ただし、全ての値上げ要請が無条件に通っているわけではない。ある日用品メーカーでは「ほぼ全商品について値上げをお願いしているが、了承をいただけたのは半分程度」といい、別のメーカーでは「コロナ前から、値上げを要請しては積み残し、次の要請でカバーするという流れがあったが、新たに値上げをするとなると理解を得にくい」と語る。また卸売業でも「メーカーの値上げ分を得意先に転嫁できたのは全体の3〜4割程度」「値上げするなら(低価格の)代替品を探してきてくれと言われる」と説明する。
 値上げそのものは食品業界が先行していたが「その分だけ生活者の財布の紐が固くなり、日用品を節約しようという意識や動きも見られる」(メーカー幹部)ことから、価格だけではない提案が今後は強く求められてくると言えそうだ。
 また、物流2024年問題が近くに迫っている。ドライバー不足に加えて、配送費の高騰、時間的な制約などから、現在の物量の3割以上が届けられなくなると危惧する声もある。こちらも、より高いレベルでの効率性が求められてくるはずで、かつ単体ではなく、すでに一部で始まっている複数の企業・団体による共同の取り組みをより加速化させていく必要がありそうだ。
 
 (詳細は「日用品化粧品新聞」8月1日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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