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日やけ止め、制汗剤、殺虫剤・虫ケア用品、冷却剤、2023年夏物商材の動向振り返る

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日やけ止め、制汗剤、殺虫剤・虫ケア用品、冷却剤、2023年夏物商材の動向振り返る

 アフターコロナの機運も高まり大きく実績を伸長

 新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に移行され、マスクレスや外出需要が増えた他、記録的な猛暑となったこの夏。日やけ止め、制汗剤、殺虫剤・虫ケア用品、冷却剤といった夏物全般において回復・成長傾向が見られた。メーカー各社の更なる付加価値を進める動きも目立っていて、市場では新たなヒット商品も生まれている。


 日やけ止め
 コロナ禍ではマスク着用機会の増加、外出機会の減少が逆風となっていた日やけ止め。アフターコロナの機運が高まった今年は、注目度の高まりに伴ってメーカー各社の多彩なアプローチも目立ち、大きく実績を伸ばしたようだ。
 東京・原宿のアットコスメトーキョーにおける6~9月の日やけ止めの売り上げは前年比で3・53倍を記録。同1・74倍だった同店全体の売り上げを大きく上回った。店舗担当者は「売り場スペースはそれほど大きくしていないが陳列アイテム数が増え、ミルク、クリームといった定番アイテム以外に、塗り直しが簡単なスティック、スプレーなどが並び購入者の選択肢の幅が広がった。外出時に塗り直しの必要性を感じた人がスティックタイプを追加購入するなど利用シーンに合わせ使い分けするケースが増え、より生活シーンに身近な存在になったのでは」と分析する。
 また、今や高いUVカット効果は当たり前で、プラスアルファの価値が求められているようになり、スキンケア効果、下地効果、肌をきれいに見せる効果、肌の負担を軽減する効果など、多彩なニーズに応じてメーカー各社が商品を提案し選ぶ楽しさを提供できていることも、カテゴリーの注目度アップにつながっていると見られる。
 逆さにしても使えるといった利便性などが人気を集めた「ビオレUVアクアリッチアクアプロテクトミスト」、心地良い使用感が持ち味でスキンケア発想の日やけ止めという価値が受け入れられた「雪肌精クリアウェルネス」など、ヒット品も多数出現。特に雪肌精クリアウェルネスの日やけ止めは2~9月の出荷個数、店頭消化数が前年の2倍以上を記録。ロサンゼルス・エンゼルス所属の大谷翔平選手をプロモーションに起用し「大谷VS太陽」という印象的なワードで日やけ止めの重要性をアピールしたことや屋外でスポーツをする学生を対象にした「紫外線対策講座」の実施などが大いに話題となった。アウト展開を含めて例年以上に売り場スペースが広がり、9月になっても商品出荷は一定数を確保していたという。
 制汗剤
 コロナ禍による外出自粛の影響から、大きく数字を落としていた制汗剤市場だが、昨年ようやく回復基調に入り、今夏の需要拡大で更に完全復活へ向けて勢いが加速している。市場トータルで今年の見込みは、ピーク時の2019年の水準にはまだ達していないものの、大きな伸びを見せ、前年比10%以上の増加となりそうだ。
 伸長の要因として挙げられるのは、コロナ5類移行により外出需要が回復していることに加え、何といっても7~8月の猛暑の影響が大きいといえる。特にシート剤型は各社共に好調で、あるメーカーでは「特定の商品は2桁増となったものの、あまりに急速な需要拡大で欠品を生じてしまった」と、反省の弁さえ口にする。
 近年、高い成長率を示す直塗りタイプも同様の伸びで推移、複数の新商品導入もあって活況を呈している。合わせてUV機能を兼ね備えたタイプも2桁増と見られ「参入メーカーにとっては、いずれも喜んでいい水準の回復となったことで、元来進めてきた“通年使用”の提案が受け入れられやすくなった」(メーカー)という。

 殺虫剤。虫ケア用品は10月に入っても大幅増

 殺虫剤・虫ケア用品
 今年の殺虫剤・虫ケア用品市場は、10月第1週までの累計で前年比5%台後半(金額ベース)の増加率で推移している。通常であれば、ここから数字が大きく変わることはないと考えられるが、今年は、若干の上乗せへの可能性を秘めていると言えそうだ。というのも、年々店頭で進んでいた「年間商材化」が、残暑の影響で特にその流れを強め、10、11月、もしくは12月まで売り場がつくられる可能性があるからだ。
 市場動向を振り返ると、店頭の早期立ち上げが今年も見られ、また、各社の値上げなどの影響もあり、2月、3月は2桁増で推移したものの、4月、5月の天候が今一つで、1桁台のマイナス。出足好調という結果には至らなかった。しかし、それ以降は順調に盛り返し、暑さが本格化した7月初旬からは毎週のように前年超えを達成。8月も含め、猛暑日が記録的に続いたことなどから、安定した成長ラインを描いていった。
 特筆すべきは、9月に入ってからの成長率が非常に高いこと。これは紛れもなく、高温が続いた影響と考えられ、10月に入っても各週の前年比が、各剤型30~50%増と軒並み大幅増で、電池式屋内用や人体用虫よけに至っては2倍で推移している。
 もともと10月の分母が小さいことを考えてもこれは例年にない傾向だ。
 アース製薬では、この秋、電気式虫よけの「マモルーム」にゴキブリ用を、1回の使用で1年忌避効果を発揮するスプレー「ゼロノナイト」にダニ用を追加するなど、秋冬期に新商品を投入するというこれまでにない施策を展開。「年間商材化」の流れが来年以降、スタンダードになるか注目される。
 冷却剤
 7月中旬以降から9月末まで全国的に気温が高い日が続いたこともあり、一部の地域だけでなく幅広いエリアで売り上げが拡大した冷却剤。店頭で例年よりも長期間、関連商品を置いていたことも要因となった。昨年も暑い日が多く売り上げが伸びたが、今年は更にそれを上回った。コロナが第5類に引き下げられたことで、レジャーで外出する機会が増えたことや、スポーツをする機会が増えたことも追い風となった
 傾向として、強めの冷感を感じられるアイテムが好調。白元アースでは昨年、強い冷感を得られる「アイスノン シャツミスト ICE KING」を発売し、売り上げを伸ばした。今年は、ユーザーの要望から大容量の詰め替えを発売。ヘビーユーザーから高い支持を受けた。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」10月23日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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