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【園芸用品市場】コロナ禍で獲得したユーザー育成へ

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【園芸用品市場】コロナ禍で獲得したユーザー育成へ

 「離脱者」の抑制どう図る


 コロナ禍による在宅時間の増加でユーザーの裾野が広がった園芸用品市場。コロナ前の生活が戻るに伴い、その勢いも落ち着き、新規で入ったユーザーをどう離脱させないか、が業界全体の課題として掲げられている。各社はどのようなアプローチで、その課題を解消し、更なる市場拡大を目指すのか。

 園芸用品市場(肥料、苗、エクステリアなど除く)は、2016年に約420億円(当社推計)に達して以降、ほぼ横ばいの動きを続けていたが、コロナ禍に入った20年に一気に500億円近くにまで拡大、21年は約515億円とピークに達し、22年は約510億円という結果を残した。
 カテゴリー別では、農薬エアゾールやハンドスプレー、不快害虫用、犬猫忌避剤が数字を落とし、除草剤が引き続き大きく伸長。マイナスの要因について各メーカー関係者は、以前から業界としての課題でもあった「園芸離脱者」の発生を挙げる。コロナ禍を背景に、園芸を始めた人たちが何らかの理由で止めてしまうという流れが、そのまま市場の縮小に反映されたと考えられる。除草剤が伸びているのは、野菜や花を育てるという、直接的な園芸とは異なる用途でのユーザー増が見られているからだろう。
 とはいえ、コロナ前の19年に比べ、市場は大きく膨らんでおり、23年も前年並み、あるいはプラスの数字を見込んでいる業界関係者は少なくない。

 天然系、詰め替え用で開拓へ

 天然系の殺虫・殺菌剤に各社が注力
 市場での新たなトレンドとしては、食品成分などを用いた天然系の商材が台頭してきている。「化学系成分のものは使いたくない」「なるべく安全・安心なものを使いたい」というニーズに応え、各社が開発に注力しており「効き目が弱そう」という天然系の一般的なイメージを覆す優れた効果の商材で、新市場の構築を目指している。同時に「安全・安心なのに、効き目が強い」、更に特長が「分かりやすい」という価値で離脱者の抑制を図る考えだ。

 今年の殺虫・殺菌剤の展開では、住友化学園芸が「ベニカナチュラルスプレー」「ピュアベニカ」といった「ナチュラルベニカシリーズ」を投入。住友化学始めグループ数社で「世の中に、天然のPOWERを。」をテーマにしたプロジェクト「ナチュラルプロダクツ」をスタートするなど、天然由来の商品を扱うメーカーであることを強く訴求している。
 認知度の高い「カダン」ブランドでユーザーから絶大な信頼感を得るフマキラーは、食品成分生まれの「カダンセーフ」の適用を拡大。より幅広い植物と病気に対し、発生予防効果を発揮できるようにした。この商品は、日本初となる収穫して食べる当日まで何度でも使えるという点で高い評価を得ている。更に来年は、燻製酢を使った「カダンお酢でまもる」を投入する。
 業界に先駆け、SDGsの追求を大々的に打ち出すアース製薬は「やさお酢」「ロハピ」で市場をリード。一早く詰め替えパウチの「エコパック」を投入するなど環境配慮の施策も強めている。同社はSNSを使ったユーザーとのコミュニケーション戦略を充実させ、各コンテンツの登録者数でも業界内で群を抜いている。これが奏功し、他のブランドより離脱者が少なく済んでいるという。
 環境意識の高い園芸ユーザーの関心高める
 「園芸ユーザーは、環境意識の高い人が多いことがデータで分かっている。若年層を中心とした新規層でも、環境に優しいものなら使ってみたい、という声が聞かれており、そういった商材の提案で離脱者抑制と、新規の流入を同時に進めたい」(メーカー関係者)という狙いがどこまで実現するか。来年も各社が環境配慮の商品、より効き目のある商品の投入を予定しており、コロナ禍で獲得したユーザーをどう育成できるかに注目が集まっている。

(詳細は「日用品化粧品新聞」11月27日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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