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殺虫剤特集 更に進む付加価値化、昨年は前年比減もコロナ前より大きく成長

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殺虫剤特集 更に進む付加価値化、昨年は前年比減もコロナ前より大きく成長

 成長著しいゴキブリ用とダニ用

 コロナ禍で需要が増加した市場の一つが殺虫剤・虫ケア用品。2021年の金額規模は前年比2・4%減の1256億円だったが、コロナ前の19年との比較では、12・7%増と、多くの生活者に価値を認めたと思われる数字を残している。 今年は4月16日時点で前年比100%。各社は需要期を迎える今後、どういった商品、戦略で拡大を目指すのか。
 カテゴリー別の動きを見ると、ゴキブリ用とダニ用の成長が著しい。需要としては「予防」が引き続き高い傾向にあるようだ。
 ゴキブリ用は昨年、前年比3・4%増で推移。近年安定した伸びが続いている。「ゴキブリムエンダー」(大日本除虫菊)のヒットに加え「おすだけアースレッド無煙プッシュ」(アース製薬)、「ゴキブリワンプッシュプロプラス」(フマキラー)など、空間や隙き間にプッシュするタイプの高単価商材が市場をリードしている格好だ。
 また、近年の成長率では市場トップクラスのダニ用は、昨年も前年比27%増と飛躍的に伸びた。ダニ用の店頭は「さよならダニー」(イースマイル)など大手以外のシートタイプによって活性化。市場の拡大に貢献してきた。そこに昨年、アース製薬が「ダニがホイホイダニ捕りシート」、大日本除虫菊が「ダニがいなくなるシート」を発売し、成長の勢いを加速させた。今年は、アース製薬が電気式の「マモルーム」を投入。蚊用に加え、市場でも新規性の高いダニ用をそろえている点が特長で、更に「『予防』を打ち出したことが小売業からも高い評価を得ている」(アース製薬マーケティング担当者)ことから、早くも店頭での存在感を発揮しているようだ。また、フマキラーの「ゴキ・ダニまとめてジェット」もゴキブリだけでなく、ダニも駆除するくん煙剤タイプで、テレビCMの大量投入も手伝って小売業及び消費者から引き合いを強めているという。
 「予防」の観点では、空間用虫よけ市場で一日の長がある大日本除虫菊の「虫コナーズ」が今年、蚊に効き目があることを大々的に訴求した防除用医薬部外品の「蚊に効く虫コナーズプレミアム」を発売した。
 虫よけプレートの用途は多くが蚊の侵入阻止であることが予測される。そこで、パッケージに「蚊に効く」の文字を入れ、ダイレクトに特長を訴求。その点が消費者に理解されてかシーズン第一の山場である春先に、市場を高い水準でリードした。

 夏場の気象状況を見越した売り場提案も

 殺虫剤・虫ケア用品は、気温の状況によって売り上げが大きく左右される。昨年のように春先の気温の上昇で好スタートを切ったかと思えば、夏場の悪天候でその貯金を使い果たしてしまう年もある。最需要期の6〜8月が、度を超えない暑さであることがベストと考えられるが、関東圏の某卸売業では、東京に一定量の積雪があった2014年(1994年以来の20cm超)と18年(14年以来の20cm超)は猛暑の年で、今年は18年以来の10cm超の積雪があったことから、猛暑になると予測。気象庁が発表した長期予報も平年より気温が高いとされており、小売業にもその観点から、対前年ではなく4年サイクルで捉えた売り場づくりを提案しているという。
 各社の製品は品質の付加価値化や使い方の新提案が進んでいる。後は、適度に暑く、台風の発生も少なく、冷夏や長雨の状況が無ければ、市場の成長は確かと言えるだろう。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」5月2日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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