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〜エキスパートに聞く〜『失敗しない中国ビジネス』

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〜エキスパートに聞く〜『失敗しない中国ビジネス』

現地とのビジネス&越境EC市場の新潮流

 越境ECの好況に沸く産業界に昨年8月末、大きなニュースが飛び込んできた。中国の「電子商務法」(以下、EC法)※1成立だ。これに連動するかのように、3カ月後には化粧品などの申請制度※2を変更。業界関係者の間では「爆買いが減速して景気にダメージ」「中国への門戸が広がる」など様々な憶測を呼んだ。これらが意味するものと今後への影響について、日本企業の中国進出サポートなどを行う企業の現地担当者に聞いた。

 --今回のEC法について、現時点でどう捉えていますか。

 「何が変わってどんな影響が出るのか、専門家の分析も様々で日本では一部情報が錯綜したとも聞きますが、この理由は二つあると思います。まずは言葉の壁です。法律の専門用語は難解ですから、翻訳の仕方ひとつで解釈が変わってしまうことがあるので注意が必要です。もう一つは、ナショナリティの違いです。周知の通り中国は法律を運用しながら変更していくケースが多々見られます。日本人の感覚では『法施行=決定事項』ですが、中国では違う。こうした点を理解しなくては全体像を見誤る恐れがあります。今回のEC法も一部改正される可能性が大いにありますので、常に最新情報を入手して臨機応変に対応していく必要があるでしょう」

 —越境ECといえば、SNSを介して商品を販売する「微商」や、日本で購入した商品を転売する「代理購入」が知られていますが、こうしたC2C事業者への影響は。  

「これまでC2Cの越境ECでは認証などを取得していない製品も販売されてきましたが、今後は一般貿易と同様の営業許可証が必要になり、納税が義務付けられました。越境EC事業者には打撃となりますし、“爆買い”や“ブローカー買い”なども減少すると見られています」  「17年に発表された中国のある調査では、越境ECに占めるC2Cの割合が7割に達したという見立てもあります。内需拡大を図る中国政府としては看過できない規模に成長しているわけで、今後は正規販売への流れが一気に加速するでしょう。市場全体としては健全化に向かっていると思います」

 --今回のEC法では、プラットフォームを運営する事業者の責任も規定されました。  
 「EC市場が拡大する中で偽装品や違法商品の問題も取り沙汰されています。販売事業者とプラットフォーム事業者の双方の責任を重くすることで消費者保護を強化する狙いもあると考えられています。事業者の責任が厳密に問われるようになりますから、当社もこれまで以上に取引には慎重にならざるを得ません。また、正式に認証の取れた“売れる”商品でなければ取り扱うことが難しくなります。そうしたリスクもしっかりとお伝えし、それでも中国進出を希望される企業の皆様を全面的に支援していく考えです」  —EC法と連動するかのように、18年11月10日には化粧品などの申請制度も変更されました。販売事業者には追い風とも言われています。  「手続き上の規制が緩和されて中国進出のハードルが下がるという報道もありましたが、いざ蓋を開けてみると登録申請できる会社の要件が厳格化されるなど、単純に緩和という話ではないことも分かってきました。現時点でもまだ全容は明らかになっておらず、今後も注視する必要があります」  「そもそも中国国内では、正式に登録していないような製品を販売することはできません。法律を遵守する貿易商と正規ルールに基づいて取引をすることが重要です」

特徴と個性を知り尽くす「プロ」と組むこと

 --日中間で橋渡しをする企業の存在感がますます高まりそうです。  

 「当社の場合は『失敗しない日本企業を増やしたい』をポリシーとしていますです。日本と中国では法律や規制はもちろん、プロモーションの手法も全く異なります。最近は特徴のある小規模なモールも需要が高く、一例として動画メディア『一条』はクオリティの高い映像美などで注目を集めています。数多あるECプラットフォームの特徴や個性を知り尽くした上で戦略を練ることが需要であり、ノウハウや正攻法を知るプロフェッショナルと組むことが成功へのカギといえるでしょう」


 ※1 18年8月31日、中国の全国人民代表大会常務委員会で「中華人民共和国電子商務法」が可決・成立、19年1月1日から施行された。
法律の適用対象として「電子商務経営者」と「電子商務プラットフォーム経営者」を区別し、それぞれの義務や責任、違反した場合の罰則などが規定された。

 ※2 18年11月10日、中国国家薬品監督管理局(旧CFDA、現在はNMPAと名称変更)が新しい化粧品申請制度を発表。
中国市場で化粧品や医薬品などを販売するためにはNMPA登録を行う必要があり、この際の申請に課せられる規制が緩和されるともいわれている。

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