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【有力各社の決算分析】逆風下で利益確保を求めて、相次ぐ「増収増益」も今後の回復に光

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【有力各社の決算分析】逆風下で利益確保を求めて、相次ぐ「増収増益」も今後の回復に光

 原材料価格の高騰や急激な為替変動などコスト高の影響も

 日用品・化粧品業界有力各社の決算が出そろった。ほとんどの企業が「売上増」「利益減」という傾向にあり、個々の事情を除いき、多くは原材料価格の高騰や急激な為替変動などによるコスト高の影響を受けている。一方で今後の見通しについては、不透明さが残りながらも一部では回復の光が見えそうな部分もあり、各社の取り組みに期待が寄せられそうだ。

 業界最大手の花王の2022年12月期は、価格改定を進めたケミカル事業を中心に各部門で売上高を2桁近く伸ばしたが、各利益は2割以上のマイナスとなった。長谷部佳宏社長は、取り巻く環境の厳しさを指摘しつつ「経営改革を進めてきたが、事業変革のスピードが追いついていなかった」と述べ、今後は市況に依存しない事業体質に変えていくとして、グローバルを含む戦略的な事業の強化・拡大を図る方針を示している。
 3月末での社長交代を発表したライオンは、同じく22年12月期で増収減益となったが、期初に予想した数字を上回る結果となった。独自に算出する事業利益は2割以上減少したが、想定を上回る原材料価格の上昇を粗利の増加や特売の抑制、費用の効率化などで吸収。課題として挙げる中国での事業、主力カテゴリーが減少する国内のファブリックケア市場、リビングケア市場の再活性化を目指すとしている。
 昨年、創業150周年を迎えた資生堂の22年12月期は、売上高こそ5・7%伸ばしたものの、パーソナルケア事業譲渡の影響で差益減の影響もありコア営業損失は131億円を計上した。ただし、日本では中価格帯の市場が回復傾向にあり、スキンケアを中心に戦略的な投資を強化したことで、国内の売上高は前年並みを確保した。反面、注力する中国での事業は、Eコマースの展開が進んだが、主要都市でのロックダウンが大きく影響しマイナス傾向に。
 決算期を変更した21年度から収益認識に関する会計基準等を適用しているコーセーの22年12月期は、同期間で算出した売上高を7・5%、為替の影響を除く実質で2・7%伸ばした。この増収に加えて、原価率低減と販管費抑制を進めた結果、営業利益は4割増加した。海外では他と同様に中国事業で苦戦したことでアジアでは0・5%増にとどまったが、円安効果で北米、欧米が大きく成長した。
 小林製薬も22年12月期で増収増益を記録した。売上高7・1%増、営業利益2・3%増。純利益は25期連続して増益を記録した。日用品、スキンケアは伸び悩んだが、ヘルスケア及びカイロが堅調な動きを見せ増収に寄与した。10月以降にはインバウンド需要も増加に転じている。ただし、23年12月期は原材料価格高騰の影響や積極的な投資を行うことで減益を見込む。新中期経営計画も策定し、開発・育成など五つの戦略を推進する。
 22年度から収益認識に関する会計基準を適用しているアース製薬は、前期実績を新基準に適用したと仮定して比較した場合で、売上高が2・4%増。計画に対して1・7ポイント下回った。主力の虫ケア用品が微減となったものの、新商品が堅調に推移したことで、高付加価値品・高価格帯の商品が受け入れられる土壌ができたという。次期見通しとして売上高5・0%増、営業利益7・6%増を計画。原材料や資材の価格が前年よりかさむと予測しながらも、価格改定や海外事業拡大で増益を果たしたい考えだ。

 卸売業大手2社は22年4〜12月期で過去最高の売上高記録

 卸売業の決算では、大手2社が22年4〜12月期で同期間過去最高の売上高を記録した。PALTACは5・7%増、あらたは4・0%増。コロナ禍が続く中でも人流が増加する傾向にあり、各カテゴリーで商品の動きが堅調に推移していることや新たな取り扱いカテゴリー・商品を拡大していることが寄与した。また、両社共に減益となったが、更なる機能強化、リテールソリューション機能の拡充、その他新たな提案を打ち出し利益の回復にも意欲を示している。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」2月27日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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