【新潮流界隈マーケティング<第2回>】【新連載・KEEN寄稿】

「界隈ジャンプ」がブランドを広げる
情報が他コミュニティに伝播する瞬間
KEEN株式会社が提供する界隈マーケティング支援サービス「KEEN界隈DB」は、「どの界隈で、どのような文脈でブランドが語られているかを理解し、最適なコミュニケーション施策へとつなげる」をコンセプトに、SNS時代の美容マーケティングにおける新しい情報構造を読み解くための視点と手段を提供している。本連載では、「界隈」を単位に動く美容消費の実態を、具体的な事例とともに考えていきたい。「界隈ジャンプ」がブランドを広げる―情報が他コミュニティに伝播する瞬間―
SNS時代の美容マーケティングを理解するうえで重要な概念のひとつが「界隈ジャンプ」である。SNSでは興味関心を共有するユーザーの集まり、いわゆる「界隈」を単位に情報が流通している。ブランドに関する情報はまず特定の界隈の中で語られ、その共感が別の界隈へと広がっていく。この、界隈から界隈へと情報が伝播していく現象を「界隈ジャンプ」と呼ぶ。
従来のマーケティングでは、テレビCMや雑誌広告などを通じて、できるだけ多くの生活者に一斉に情報を届けることが重視されてきた。しかしSNSでは、「広く届くこと」よりも「どの文脈で共感されるか」が重要になる。特定の界隈の中で強い納得感や共感を生み、その評価が別の界隈へと広がっていくことで、ブランドの認知や信頼が形成されるのである。この構造をマーケティングに活用するためには、まず自社製品がどのような界隈で語られているかを観察する必要がある。ユーザーが商品のどの部分を評価し、どのような生活シーンと結びつけているかを読み解くことで、ブランドが持つベネフィットを整理することができる。
例えば乾燥対策を訴求したいスキンケア商品であれば、「サウナ」や「ホットヨガ」といった乾燥が生じるモーメントとの親和性に着目することで、美容関心層以外にも商品文脈を広げることが可能になる。また、メンズスキンケアのように市場が黎明期にあるカテゴリーでは、最初から「スキンケア」だけで訴求しても生活者に自分ごと化されにくい場合がある。「キャンプ」など熱量の高い界隈と接続し、「アウトドア後の肌ケア」という生活文脈の中でブランドを自然に受け止めてもらう方法が有効だ。
こうしたアプローチには、広告離脱率を下げる効果もある。ユーザーは自分の興味関心と無関係な広告には反応しにくい。しかし、自分が普段見ている界隈や好きなモーメントの延長線上に商品が存在すると、自然にコンテンツを見続けやすくなる。界隈ジャンプとは単に情報を広げる技術ではなく、「生活者が自分ごと化する文脈を設計する」ことでもある。どの界隈と接続すると新しい共感が生まれるのか。その視点が、今後のブランド成長においてますます重要になっていくだろう。
(KEEN代表・小倉一葉)
(詳細は「日用品化粧品新聞」5月25日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)




