【ミンテル ~世界的調査会社が見るトレンド分析~<商機を探る⑥>】【寄稿】

消費者調査から先を読む ーアナリストが示す “次の一手
サンケア市場の転換点―機能競争から“習慣化設計”へ〈ロンドン本社を含め世界14ヵ国にオフィスを構える市場調査会社ミンテル発行のミンテルジャパンレポート「サンケア・トレンド」より〉本稿では、日本のサンケア市場における消費者行動のギャップと、それが示す今後の競争軸について考察したい。
サンケア製品は、紫外線防御に加え、美容・健康機能を備えた日常スキンケアへと進化している。世界的には「高SPF化」「365日使用」「美容効果の強化」が進み、市場は“予防美容”としての役割を強めている。
一方、日本では製品進化に対し使用実態が伴っていない。日焼け止めの使用率は57%にとどまり、男性では35%と低水準である(図)。更に、通年使用の未浸透やSPF理解の不足など、機能価値が十分に活用されていない構造が見られる。
こうした状況の背景には、機能の高度化と消費者理解の乖離がある。SPF/PAは上限値帯に収束し、数値による差別化は難しい。結果として市場は、「どれだけ高機能か」から「どれだけ納得して使い続けられるか」へと転換しつつある。
今後は、防御効果や持続性の可視化、成分・試験データによる裏付け、更に肌負担への配慮を含めた“信頼設計”が不可欠となるだろう。
一方、多機能化の進展は新たな課題も示唆する。機能の過剰付加は、日焼け止め本来の防御性能への不信を招く可能性がある。単機能としての価値を明確化するか、スキンケア側にUV機能を組み込むか、ポジショニングの再設計が求められる。
また、今後の成長は男性層など未利用セグメントの開拓に依存する。ただし鍵となるのは製品数ではなく“習慣化”である。日常行動に組み込める使用設計と利用理由の提示こそが、市場拡大の前提条件となる。サンケア市場は今、機能競争の延長ではなく、「消費者の行動をいかに設計するか」という段階に入っている。その転換への対応が、次の競争優位を決定づけるといえる。
(詳細は「日用品化粧品新聞」7月1日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)





